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世界の1/3 (6) : メイキングセンス。by 中山慶太

世界の1/3 (6)

2009-08-11 | 視聴覚室

Konica IIIA  / Hexanon 50mmF1.8 / Reala ACE / (C) Keita NAKAYAMA

Konica IIIA / Hexanon 50mmF1.8 / Reala ACE / (C) Keita NAKAYAMA

ものの値段、というのが何で決まるのか、さいきんはまったくよく分からない。カメラの値付けももうずっと「時価」という感じで、NAVI編集部の青木さんも買ったばかりの新機種が「一週間で10%値下がりした」と嘆いていた。

そういうのはてっきりハードウェアに限ったことかと思っていたら、CDも凄い値段だ。特にクラシックの“ハコモノ”などは、もうあからさまな投げ売り状態。マルタ・アルゲリッチのこのセットなんか、国内盤の新譜1枚の値段で7枚組。しかもそれぞれのCDはリリース時のデザインを復刻した紙ジャケスリーブに収まっている。
これでアルゲリッチの協奏曲録音を網羅できるわけではないのだけど、そこは商売熱心なDG(ドイツグラモフォン。ユニバーサル傘下に入ってから社風が変わった)のこと、たぶん続編があるんだろう。でも正直、ここまでやらないと売れないのか、と思う。それとも、ここまでやってもらわないと聴かないのか。

そのアルゲリッチとマリア・ベターニアは、どちらも南米の生まれで、星座が双子座というだけで、音楽性に共通点はまったくない。でも僕にとっては、二人ともときに“荒ぶる神”のように近寄りがたく、また人間離れした強靱なリズム感がよく似ているように思える。音楽に「入ったとき」のテンションの高さ、たたみ掛けるようなパッセージもいっしょ。たぶん血液型もおなじなんじゃないだろうか。

さて、「マリア」の話の続きだった。このアルバムで白眉と思える二曲のことは前に記したので、別のトラックのことを書こう。まず乾いた声の朗読が印象的な「愛される女の瞳に映る詩 Poema Dos Olhos Da Amada」。ボサノヴァ最高の吟遊詩人、ヴェニシウス・ヂ・モラエスのペンになる詩は、フランスの大女優ジャンヌ・モローが朗読を担当している。
ステージでも必ず自身による詩の朗読を入れるベターニアが、なぜこの曲に限ってモローに依頼したのか。それはちょっと分からないのだけど、勝手な想像をすればこのアルバムのプロデュースを務めたナンシー・イプシランチスの計らいではないかと思う。
ベターニアはフランスでとても人気が高く、パリのオランピア劇場(シャンソンの殿堂)でもリサイタルを行っている。実は僕もいぜんパリに滞在していたとき、ベターニアのコンサートを二日か三日の時間差で聴き逃したことがあって、それは今でも心残りである。88年発売のこのアルバムは、そういう彼女のフランスにおける人気が絶頂期のもので、制作にもフランス人が多く関与しているようだ。

それ以外の曲では、やはり兄カエターノ・ヴェローゾの作になる4曲が聴きもの。「私と水 Eu E Água」や「嫉妬 O Ciúme」(旧友ガル・コスタとのデュエットが聴ける)はカエターノ自身の録音とはまったく別の味わいが生まれていて、これはやはりベターニアというひとの声によるところが大きい。

というように、「マリア」は魅力たっぷりのアルバムだ。でもこのアルバムを通して聴くと、そこにはちょっと危うい部分もあったりする。それはある意味でマリア・ベターニアというアーティストの音楽性が本質的に内包する危うさであり、また80年代という時代の空気感でもある。だからこのアルバムを彼女の最高傑作、と呼ぶのはちょっと躊躇われるのだった。

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▲photo:夏だ、サンバだ、生ビール(写真撮らせてもらったのでビール買いました)。

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