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さらば○○の光 : メイキングセンス。by 中山慶太

さらば○○の光

2009-05-24 | 視聴覚室

Leicaflex / Summicron 35mmF2 / RealaACE / (C) keita NAKAYAMA

''Brighton by the Sea'' / Leicaflex / Summicron 35mmF2 / RealaACE / (C) keita NAKAYAMA

ドント・ルック・バック。そんな名前のアルバムがヒットチャートを賑わしていた70年代の後半、僕はそれまで貪るように聴いていたロックミュージックと、しだいに距離を置くようになった。
その頃はあまり意識しなかったけれど、これはロックの商業化がはじまる時期とほぼ一致する。それ以前のロックとは、ヴェトナム反戦と厭戦でつくられたカウンターカルチャーの一部であり、反体制と呼ばれるひとたちが突き上げる拳、立てる中指の勢いをもっとも効率的に伝える手段、いわば逆布教音楽だった。
その最大の発信源だったアメリカが「もう振り返るのは止めようぜ」と言い出したのは、国中にそんな音楽ばかり流れているとGDP(当時の言い方ではGNPか)が落ち込むいっぽうだからだ。空元気でもいいから前に進もう、そういう嘘くさいエールは時代の空気に上手くフィットして、ロックは急速に商業化し、そして求心力を失っていった。

それからの三十年間、僕にとってのロックは、それまでの十年間を足したよりもずっと記憶に薄い。新しくつくられた楽曲は耳によく馴染むものが多かったけれど、あの怒濤の十年に浴びた波動を感じることはほとんどなかった。
音楽の賞味期限はどんどん短くなり、ハヤリスタリという、それまでロックではあまり使われなかった語彙が幅を利かせるようになる。だから買って聴いてもすぐに飽きる。というより、ハナっからとっとと飽きさせるようにつくってあるのだ。流行歌をつくる職人芸に中指を立てても仕方がない。
もちろん、例外もある。それは月並みだけれどU2のボノの叫びであったり、ジェフベックの「絶対に立ち止まらない」ギターであったり、またジョニミッチェルというアーティストの真摯で誠実な姿勢である。
そういう素晴らしい音楽が今でも存在することを認めつつ、でも9.11のテロ以降、なんら新しいムーヴメントが生まれなかったことには、自らの怠慢を自覚しつつも失望を禁じ得ない。もはやロックのロックたる所以、レゾンデートルは変容してしまい、僕はそこになにひとつ同時代性を見いだすことは出来ない。
かつてロックというカテゴリーで括られた音楽は、僕にとってとっくの昔に終わったことなのだ。

にもかかわらず僕は音楽を聴き続けている。黒光りするディスクをゆっくり回すターンテーブルは味気なくせり出すトレイに変わり、その奥にある高速回転のスピンドルもそろそろお先が見えてきた。音楽を伝えるメディアは、たぶんこの先カタチを持たなくなるのだろう。
そういう時代に、70年代ロックを聴いて育った世代は、これから何を聴くべきか。などと書くと如何にも大袈裟だけれど、僕とおなじように「聴くべきもの」を探しているひとに読んでいただきたいこと、ぜひ聴いていただきたい音楽のことを書いていこうと思う。

▲photo: エピフォン・カジノは何故かイギリスのミュージシャンに人気が高い。トレブリーなサウンドと軽量ボディが受けたのだろうか。ボディカラーは稀少色のターコイズ、弾いているのはクニトウマユミさん。

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