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Est-ce qu’il peut approcher plus? : メイキングセンス。by 中山慶太

Est-ce qu’il peut approcher plus?

2012-03-02 | 東京レトロフォーカス別室

Nikon FE2 / Mir-24N 35mm F2 / FUJICOLOR Superia X-Tra 400 / (C) Keita NAKAYAMA

Nikon FE2 / Mir-24N 35mm F2 / FUJICOLOR Superia X-Tra 400 / (C) Keita NAKAYAMA

35ミリという焦点距離は、実は大発明なんじゃないかと思う。
それがようやく分かった、いや分かった気になってきたのは、去年の夏にX100を使ってから。といっても、最初は正直、これで人物を撮るのはしんどい気がした。

なぜって、画面を人物主体でまとめようとすると、撮影距離が近過ぎる。近過ぎるとどうなるかというと、不自然なパースがつく。つまり遠近感が強調されて、被写体が歪んで写る。
歪ませたくなければ距離を取るか、または被写体との相対角度を常に頭の隅に置いて、レンズの光軸をあまり傾けないよう、気を遣わないといけない。

そういうのは画角の広いレンズの基本だけど、35ミリくらいだと人間の視野角からそう極端に離れていないから、つい撮る時に油断する。するとどうなるか。いっけん普通に見えて、ビミョーに出来の悪い写真ができ上がるのだ。
一発で駄目出しができない写真は、どうにも始末が悪い。
いや、不出来なのはもちろん撮り手の方で、レンズにはなんの罪もないんだけどね。

もちろん、悪いことばかりでもない。35ミリくらいの焦点距離だと、よほど寄らない限り背景が適当に入るから、写真に被写体のいる世界を、というより撮り手が勝手に捏造した世界観を込めやすい。これはスナップの延長で撮るのが好きな僕には、とてもありがたいことだ。

ここでちょっと余分な話をすると、ポートレートによく使われる中望遠レンズ、たとえば85ミリなんかは、この世界観を出すのがすごくむつかしい。反対に人物のバストアップから全身を撮るには最適で、つまりあれは伝統的な肖像画のお作法に忠実なレンズなのだ。

Nikon FE2 / Mir-24N 35mm F2 /  FUJICOLOR Superia X-Tra 400 / (C)  Keita NAKAYAMA

Nikon FE2 / Mir-24N 35mm F2 / FUJICOLOR Superia X-Tra 400 / (C) Keita NAKAYAMA

だから中望遠を装着したカメラは、イーゼルならぬ三脚に据えて撮るのが正しいお作法だ。ついでに被写体のポーズもしっかり決めて、動きは制限した方が仕上がりがいい。
いかにも分厚い前玉なんかは魅力的だけど、僕の撮り方とはまるで縁の薄いレンズである。

余談はさておき、35ミリの焦点距離が、なぜ大発明なのか。それはX100の記事の続きでも書くつもりだけど、ひとことで言えば、ある一線を越えて被写体に寄ることで、本来そこにあるべきバランス、というかモノゴトの調和を壊すことができるからだ。

これは冒頭に書いたことの裏返し。つまり見た目、小綺麗にまとめた写真では、撮りたいものは表面しか写らない。人物を覆った薄皮をちょっぴりつついて、それを剥いで見せるには、床に引かれた白線の手前でお行儀よく待たずに、線の先に踏み込む必要がある。
そうして踏み込んだときに、バランスが崩れても写真がぎりぎりで崩壊しない。それが35ミリという焦点距離の面白さなんじゃないかと、今さらながらに思うのであった。

しかしなんか最近、精神論が多いなあ(反省)。

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▲photo1:ノートリでスキャンした後に周辺を少しカット。捨てた部分との比率を見ると、ニコンFE2の視野率(約93%)と一致していた。こういうのはちょっと嬉しい。ピント面が本来あるべき位置より少し後ろに入っているのは、わざとそうしたのか覚えていない。たぶんミスだと思うけど、この写真はこのピントで正解。

▲photo2:最短の画角を確かめた後に「ちょい退き」で撮影。微妙に前ピンだが睫毛がぎりぎりで「深度に引っかかる」状態で救われた。こういう時は被写体の動きを制限せず、ピントリングを回さずにカメラごと動いて撮る。それで合焦率は半分くらい、最新機種でも100%は無理だろう。

制作協力:山城優子

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