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曇りのトマト(4) : メイキングセンス。by 中山慶太

曇りのトマト(4)

2010-07-30 | 東京レトロフォーカス別室

Minolta AL / Rokkor PF 45mmF2 / Kodak Portra160NC / (C) Keita NAKAYAMA

Minolta AL / Rokkor PF 45mmF2 / Kodak Portra160NC / (C) Keita NAKAYAMA

過日、知り合いのジャーナリスト氏から相談を受けた。いわく、新調したデジタルカメラの画像がどうにも気に入らない。その理由を問い質していくと、どうやら「見た目よりもハッキリくっきり写り過ぎる」という、いささか贅沢な悩みである。

「ハッキリくっきり」という表現には、ふたとおりの解釈がある。見た目の解像感(厳密な意味での解像度とは別もの)が高すぎること。問題のカメラの場合、これはレンズの特性というより、たぶん画像処理エンジンのシャープネス処理だろう。
もうひとつは、コントラストが高過ぎること。僕はそっちの方が原因だと思ったので、いろいろ説明を試みたのだが、先方はいまひとつ納得がいかない様子だった。レンズの解像感に比べて、コントラストの話は、仕事や趣味で画像を扱わないひとには理解が難しいようだ。

単純な話、コントラストは画像の最明部と最暗部の濃度差で決まる。真っ白な紙に漆黒の墨汁を垂らせば、コントラストは最大になるし、グレーの紙にグレーのインクを垂らせば、コントラストは限りなく低くなる。明部と暗部の差が大きければ、中間のトーンは豊富になり、逆の場合は階調感に乏しい画像となる。
写真にとって、トーンが豊富ということは、それだけ再現の幅が広いということになるので、コントラストの高いレンズが、多くの愛好家の支持を受けるのは当然だ。
そこで、もしもレンズに曇りや傷があり、また鏡胴内の内面反射が多い場合、あるいは反射防止膜の性能が充分でない場合はどうなるか。本来、記録されるべき純白や漆黒がグレーになって、中間階調も乏しくなる。つまりヌケの悪い、眠い写真の出来上がりだ。

そこで、冒頭の問いに戻ると、見た目よりハッキリくっきり、ということは、肉眼の印象よりもコントラストが高いため、なんだか不自然に感じる。そういうことではないのか。
かつてインタビューした富士フイルムのフィルム設計者、井駒秀人さんは、あのベルビアの設計コンセプトを「記憶色」という言葉を使って説明してくださったけど、人間は色だけでなく、見た目のコントラストも記憶に焼き付けている。それが写真上に正確に再現されるよりも、場合によっては現実よりもヌケが悪く、眠たい画像の方が好まれる場合があるのだと思う。

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制作協力 脊山麻理子

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