docomo Pro Series L-03C(10)

2011-03-27 | 東京レトロフォーカス別室

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 /  6.3mm F3.1 1/45sec. ISO64  / (C)  Keita NAKAYAMA

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 / 6.3mm F3.1 1/45sec. ISO64 / (C) Keita NAKAYAMA

近所の小学校は休校のまま春休みに入った。鋼鉄の門もずっと閉ざされている。
晴れわたった空の下、いつもなら休日でも子供の声が絶えない校庭に、誰かが連れてきた沈黙が横たわって退こうとしない。その沈黙がカーテンをすり抜け、僕の部屋に沁み込んでくる。
今回の災害で、この街にもいろいろ影響が出た。それが人の命に関わるものでないことを「幸い」と書くのも気後れする、そういう時勢ではあるけれど、今は子供たちの声が戻ることを願おう。

学校の校庭といえば、子供の頃にそこで過ごして、道具を使う遊びにはふた通りのやり方があることを知った。大人が決めた方法と、それを無視する遊び方だ。
最初から想定外の方法で遊ぶ子供には、たぶん才能がある。天才の伝記には、そういうエピソードが欠かせないものだ。でも子供の頃から顔に「凡人」と書いてあった僕は、とりあえずお行儀よく遊んで、それから別のやり方で悪さをしていた。たんなるひねくれ者か、または飽きっぽいだけかもしれない。

そんな三つ子の魂は、今でもしっかり持ち合わせていて、カメラも取説推奨の使い方は滅多にしない。いや、さいきんの取説はそんなに親切じゃないか。
でも、じっさいにカメラを弄ってみれば、企画や設計をしたひとたちの「なるべくならこう使って欲しい」という意図は、だいたい読める。それは「こういう使い方はして欲しくない」というメッセージの裏返しだから。

ドコモL-03Cについて書けば、これは明らかにフルオート推奨。つまり「撮影感度もホワイトバランスも絞りもシャッタースピードもピントも、いっさいがっさい任せなさい」とカメラが言っている。撮影者はズームの画角を決めてレリーズボタンを押すだけ。後はぜんぶ、カメラの中に住んでいるコビトがやってくれるのだ。

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 /  6.3mm F3.1 1/45sec. ISO64  / (C)  Keita NAKAYAMA

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 / 6.3mm F3.1 1/45sec. ISO64 / (C) Keita NAKAYAMA

コビトはめったに間違いをしない。それは前回に露出のところで書いたとおりで、万人に好まれる料理を解析して、そういう味付けにしているからだ。L-03Cは携帯情報端末機能付きのコンデジで、コンデジの本質は大手ファミレスチェーンなので、それで正しい。
そのテーブルで「趣味を平準化することの是非」を論じても、それは詮無きこと。自分の好みは他人と違う、そう主張したいひとは別の店を選べばいい。それにファミレスにだって、テーブルに調味料の備えはある。

L-03Cにしても、上に並べたオート機能は、絞りとシャッタースピードを除いて、ぜんぶ解除できるようになっている。といっても、こういうカメラのマニュアル設定はおおむね緊急避難用。微妙な味付けの工夫には、ちょっと使えないことが多い。
ではどんな風に使えるのか、または使えないのか。自分で設定できる項目の使い途と印象を記しておこう。

「撮影感度」の手動設定は、ISO64〜3200の7ステップから選べる。ちなみにISOオートの場合は上限が撮影モードによって異なり、通常のオートで800止まり、他のモードではもっと低感度寄りになる(「ランプ」のみISO4000まで拡張可能)。
マニュアル選択では「少しでも画質に有利なように」と、つい低感度側を選びたくなるところだが、ISO64〜200あたりの常用域は事実上差がない。またオーバー800の高感度側はノイズが目立ち、「撮ることに意味がある」というオリンピック精神型の画質になる。といっても、まあコンデジとしては常識の範囲だ。
ではどういうときに感度をマニュアルで選ぶか。これは(超高感度域を除けば)露出がオート専用で、しかもその制御がプログラムのみという本機では、希望するシャッタースピードを呼び出す機能と割り切った方がいい。それが役立つ場面はけっこうある。

「ホワイトバランス」はオート以外にプリセット(4種)とカスタムから選べる。選ぶ余裕があるならプリセット、スナップ機に徹するならオート固定だろう。カスタムは昔ながらの「白を取る(撮る)」方式で、上手く使えば微妙な味付けもできる。ただしパラメータ入力のような再現性は無く、設定値のメモリーも無い。もう一度おなじことをやりたいなら、光の条件をよく読んで覚えておくこと。

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 /  15.7mm F5.1 1/40sec. ISO400  / (C)  Keita NAKAYAMA

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 / 15.7mm F5.1 1/40sec. ISO400 / (C) Keita NAKAYAMA

「ピント」は16ステップのセレクター。マニュアルフォーカスで遊ぶためというより、コントラストAFが苦手な条件を意識した、製造者責任みたいな位置づけの機能だ。そういう条件には確かに有効で、またマクロとフルレンジの切り替えが自動で行われるのも便利。ただしこのサイズのイメージャの宿命である「限りなく深い被写界深度」を考えると、無限遠側の刻みはもっと粗くていい。距離選択は液晶パネルのスライダーにタッチして行う方式だが、このインターフェイスにはまだ改善の余地がある。

なお上記の項目は、いちど設定すると次回撮影時まで保持される。これは見識でもあり、またそれがアダになる場合もあるのだが、とにかくマニュアルで遊んだ後は後片付けをしておこう。
いちいち戻すのが面倒なら、撮影モードで「iS(インテリジェントモード)」を選べば、すべての設定を瞬時にカメラ任せにできる。このモードならカメラの中のコビトがぜんぶやってくれるから、撮り手は何も考えずに済んで、たぶん楽チンに違いない。子供の頃に、滑り台を逆向きに駆け登ったひとには、あまり向いていないと思うけど。

(この項続く)

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▲photo01:「ドレープ1」。西日が射す部屋のカーテンを影絵風に撮ってみた。ホワイトバランスを日陰で取り斜光の低い色温度を強調、露出補正でコントラストを高くしている。後処理でも似たような効果は出せるけれど、リアルタイムで絵をつくる方がずっと面白い。それが写真の面白さにつながるかは、また別の問題だが。
フルサイズ換算約35ミリの広角端で撮影。撮影距離が選べる場合も、凹凸を出すなら望遠側より広角側だ。

▲photo02:「ドレープ2」。上の写真のバリエーション。こちらは極小サイズのイメージャ搭載機でボケ写真を撮る試み。カメラ設定はおなじまま、ピントをMFの最短距離に固定。カーテンにギリギリまで寄って舐めて撮った。イメージャからピント面までは約10センチ。ただし被写界深度は「手前に浅く、奥に深い」ため、正確なピント位置は分かりづらい。
L-03Cのレンズはボケの質を語るようなものではないが、素直な描写特性を持つ良品と思う。

▲photo03:「モデルさま、不在につき」自撮りをいちまい。これも最初はMF最短距離で、レンズの銘板にピントを置こうとしたのだが、背面液晶ではその合焦確認がむつかしい。AF多点測距の自動選択は思った位置にピントが来ない。けっきょく中央の測距点に固定してカメラを振った。腕が疲れた。
レンズの焦点距離はフルサイズ換算で約87ミリ。撮影距離はマクロの最短で約40センチ、人物までは90センチくらい。ピント面付近の被写界深度はそれなりに浅く、ただしそこから先のボケ量はご覧の通り。

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