Canon EOS 7D (3)
機械をいじるのがけっこう好きだった。ハンダ付けは苦手だったけど、楽器やオーディオのケーブルくらいなら自分でつくったし、クルマの下に潜って手を汚すことも多かった。
それが、このところちょっと億劫になっている。いや、カメラの操作なんて取説さえよく読めばむつかしくない。デジタルなら結果もすぐに確認できるから、どこをいじればどうなるかが手に取るようにわかる。手が汚れることもない。
なのに、なぜ面倒に感じるのかというと、作業するプロセスが撮影行為そのものから離れすぎている気がするからだ。いや、べつだんどこかをいじらなくても、簡単に写真を撮る方法はある。そういうショートカットはほとんどのカメラに仕込まれている。
EOS 7Dにしても、自分好みのセッティングを一度出してしまえば、それを登録して呼び出して、というやり方で好きなように写真が撮れる。これはたぶん、今の時点では理想に近い方法だろう。
でも、撮影の条件は常に一定ではないし、撮り手の気分というのはそれ以上に移ろいやすいものである。だから適当なところで折り合いをつけて、後は撮影後にじっくりいじる、というのが僕のスタイルに合っている。というか、古いカメラとネガフィルムを常用していたら、それが身体に染みついてしまった。
それならRAWで撮って後で好きな絵をつくればいい、というひともいるだろう。それは確かにひとつの方法だけど、でもデジタル記録というのは、リバーサルと同様に、露出の寛容度が低くてスイートスポットが狭い。だから露出を外すと、後で救いようのないデータが記録される。それを防ぐためには、やっぱりいろんな部分をいじる必要がある。
まあ、これはいつもの愚痴なのだけど、今の僕はもっとシンプルなカメラが好きだ。それで安っぽさのない、画質にも妥協のないカメラが欲しい。でもそういうのは探しても見あたらない。そういうカメラを求めるひとの数が少ないのか、またはそういうひとの声がメーカーに届いていないのか、あるいはこれは無理難題なのだろうか。
EOS 7Dを使いながら、なんとなくそんな事を考えていた。
カメラそのものの話はまた次の回で。
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▲photo:これはせんじつに東京で催されたワイン見本市、Vinitaly Japanの招待ディナーで。スピーチするのはイタリア・ピエモンテ州のスプマンテの造り手バーヴァ氏。気むずかしそうに見えたけど、後で話しかけたらとても気さくな人だった。それにしてもイタリア男のスーツ姿はなんでこんなに絵になるんだろう。
撮影位置は自分のテーブル席から。照明は白熱灯だけどWBは迷わず太陽光に。背後にちょうど黒いカーテンが位置して、とてもいい雰囲気に仕上がった。やはりこれはいいカメラだ。普段ディナーの席に持ち込むのは憚られるけど。
レンズはEF-Sの新しい標準ズーム。撮影焦点距離はフルサイズ換算で136mm。手ブレ補正を入れて、なるべく低めの感度で撮れるようセッティングを決めた。
Grazie speciali alla Sig. Roberto BAVA e Canoviano Tokyo,
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