Canon EOS 7D (4)
編集者不在をいいことに、思いついたテーマを並べていたら、すこしお店を広げすぎてしまったようだ。このサイトでは僕がそのときに興味を持ったことを書きたいように書いているのだけど、アクセスしてくださる方には読みづらいに違いない。ちょっぴり反省して、なるべくまとめて書くようにしよう。
で、EOS 7Dの続きである。
クルマでいえば、発売後の新車効果もそろそろ切れる時期。情報もすでに出尽くして、世評も固まりつつあるだろう、と思ったらネット上ではこのカメラの「ある部分」に話題が集中しているらしい。まあいろんな意見があるようだけど、僕はあまり興味がない。いつも不便なカメラばかり使っているからだ。
ただ、ひとつだけ書いておきたいのは、このカメラがもの凄く真面目につくられているということ。そう書くと他のカメラが不真面目に思えるかもしれないが、そういう意味ではない。そうじゃなくて、このカメラの開発に携わった方々が、とても高い目標を掲げて、地道な努力の積み重ねでその目標を達成していったということだ。
そのことを実感したのは、昨年の暮れに発売された「EOS 7Dの本」の仕事で、開発陣にインタビューさせていただいた時である。なかでも、チームのまとめ役であるT氏は“筋金入りのカメラガイ”という雰囲気で、こちらの知識が足りないところを即座に看破する。入社以来ずっと機械設計を担当されたそうだけど、最新のデジタル機でもカメラ全体を完全に把握されている。使い手にとって、何が重要かをよく理解しているということで、これはエンジニアとして貴重な資質だと思う。
特に印象的だったのが、ご自身の専門分野であるメカ設計に話が及んだ時の反応。「高速連写はメカだけで達成できる性能ではなく、画像処理エンジンの高性能化と最適化が重要」というその言葉は、僕のような古典カメラ好きが見過ごしやすい現代のカメラ設計の「肝」の部分を端的に言い表している。
そんなの、当たり前だろうって? いやいや、この話はけっこう奥が深いのです。詳しくは上記の本を立ち読みしてください。
そういうひとがまとめたカメラだから、“セブンディー”は全体として隙のないつくり。いや世間ではこのカメラに突っ込みを入れる声も多いようだけど、市場の実勢価格を観れば、これだけの性能を持つカメラが、多くのひとに手の届く価格帯に降りてきたことは幸せだと思うべきだろう。
そういう前置きをしたうえで、敢えて不満を書くのは、これは重箱の隅をつつくようなもの。でも僕はいつも物故者みたいなカメラたちにそういう仕打ちをしているので、最新の機種だけに甘くするわけにもいかない。って変な理屈だけど、どうしても書いておきたいことがふたつみっつあるのだ。
(この項続く)
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▲photo:EFレンズの高級版、50ミリF1.2Lで撮影。APS-Cセンサーの倍率では80ミリF1.2という、まるでライカRの大口径中望遠を思わせるスペックになる。ポートレートに最適、と言いたいところだけど、実は僕があまり得意でない画角(理由はまたそのうちに)。某劇団の男役みたいな被写体はお友達のユウコ。このところちょっと痩せ過ぎで心配だ。
Special thanks to YUKO,
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