Pentax K-7 (4)
余談。
デジタルカメラの仕様で、いつも疑問に思うのは感度設定だ。
最高感度は倍々ゲームみたいに上がっていくけど、
最低感度はこのところずっとISO100で下げ止まったまま。
これって何故なんだろう。そう思って、K-7開発チームに尋ねてみた。
「それはセンサーの感度レンジをどのあたりに設定するか、という問題ですね」と答えてくださったのは、PENTAXイメージング・システム事業部で画像設計を担当されるYさん。
「技術的には低感度対応も可能ですが、でもそうすると高感度側が犠牲になります」
つまり、現在のスペックはユーザーの常用感度に合わせた設計ということだ。
高感度側が犠牲といっても、現状ですでにフィルムを超える感度が、コンパクト機でもフツーに使えるようになっている。それで充分じゃないのか。っていうか、それ以上を目指す意味はあるんだろうか。
「超高感度を希望されるお客さまは多いですよ。いっぽう低感度側への拡張を望む声はほとんどありません」商品企画のWさんもそう仰る。
確かに、高感度領域での絵づくりは各社それぞれが独自技術でしのぎを削る、いわば技術のショーケースみたいな部分である。具体的にはノイズリダクション効果の比べっこだ。「ローソク一本で写る」って、あのヤシカエレクトロ35の時代から、暗いところで写真を撮りたいひとは多いらしい。
それに対して、低感度の絵はセールスポイントになりにくい。フィルムなら粒状性や階調再現で付加価値も出せたけど、デジタルの絵づくりだと、そういう分かりやすいアピールができないのだ。
でも、もしISO50や25が選べれば、おなじ絞りならそれだけ遅いシャッターが切れる。これはカメラブレの危険をはらむけれど、たとえば被写体の髪だけにブレを与える、みたいな撮り方ができるということだ。それをやろうとすると、1/15秒や1/8秒での絞りの自由度が必要で、やっぱりISO100では足りない。
それだけでなく、低感度の設定ができれば、明るめの条件でも遅いシャッターが使える。センサーやフィルムに届く光の量がいっしょならおなじ絵になる、なんてことはなくて、絶対光量の差は発色の違いに現れる。つまり、低感度側の拡張は、僕にとって作画の自由度が高まるということなのだ。
先ほど受け持ち分を脱稿した「K-7本」にも載らないこの話、書き始めたら長くなりそうなので、続きはまた近日中に。
と思ったら編集のAさんから電話で追加の原稿依頼。ほんとうに発売日に出せるのだろうか。
っていうか発売日、いつだ。
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▲photo:お食事中。よくあるオフショット、みたいだけど実はけっこう好きな写真。K-7本にも本気で載せようかと思った。軟らかくまわる光がいい。ハイライトがうなじに来ているのもポイント高い(←自画自賛御容赦)。
レンズは前回といっしょのDA 17-70mmF4 AL。ふだんズームをほとんど使わない僕なのに、このレンズはなぜか相性が良かった。可笑しかったのがユーティリティソフトで確認した焦点距離。フルサイズ換算の35ミリとか50ミリとかを、まったく無意識で選んでいる。染みついた画角感覚はそう簡単に抜けないということなのか。
モデルさんは手も足も指も長い。中央の測距点で合わせてそのまま切った。
Special thanks to KAORI.
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