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Konica Autoreflex T3(1) : メイキングセンス。by 中山慶太

Konica Autoreflex T3(1)

2011-04-24 | 東京レトロフォーカス別室

(C) keita NAKAYAMA

(C) keita NAKAYAMA

旧いカメラが人気だという。若者の「フィルムで撮りはじめました」なんて話も、小耳に挟む。
本当だろうか。雑誌なんかによくある小特集の受け売りじゃないのか、という気もする。「人気」の前に「密かな」をくっつけて、ネタ枯れの時期にページを埋めるアレ。そんなことをやるくらいなら、プラダのカメラストラップでもオマケに付けた方が、ずっと部数が伸びそうだ。

いろんなひとから聞いた話をまとめて、僕の勝手な解釈を加えると、次のようになる。デジカメはもう誰もがフツーに持っていて、「デジ」の接頭辞がいらないくらいに、当たり前の存在だ。そこで他人とちょっと違うものを持ちたい、ということがひとつ。
まあ、これはフィルムカメラの進歩が止まる直前にあった「中古カメラブーム」といっしょ。一種の贅沢病ではないかと思う。今のご時世、新しいモノをどんどん買わないといけないよ。

もうひとつの理由も、じつは以前からある風潮で、写真の画質向上が行き着くところまで行き着いてしまって、もう何をどんなカメラで撮っても感動がない。いわばハイテク不感症。むしろローテクな道具で撮る写真の方が気持ちがイイという、そういう困ったひとたちが増えているらしい。「EDレンズ」なんて、不吉な名前のタマもあったなあ。

Konica Autoreflex T3 / Hexanon AR35mmF2 / RealaACE / (C) keita NAKAYAMA

Konica Autoreflex T3 / Hexanon AR35mmF2 / RealaACE / (C) keita NAKAYAMA

じっさい、カメラメーカーで企画や設計をしているひとたちと話をすると、といっても廊下で立ちバナシ程度の軽いノリなのだが、彼らもそういう風潮にはほとほと困っている。それで、苦肉の策がアートフィルター。ハイテク画質をローテクの「ゆるふわ」に先祖返りさせる、あの魔法の薬だ。ってそれ、逆バイアグラかい。

悩む気持ちは分からないでもない。でもさあ、優秀なエンジニアたちが残業しながら磨き上げた珠玉の画質を、ボタンひとつでロモとかホルガ化するのは、どうか。日本のカメラ技術者が築いてきたものは、浜辺の砂の城だったのか。
「だいたい、妖しい効果のフィルターって、量販店の片隅のフィルター売り場で半額で売られるものだろう」
いやそう思う僕の方が、旧い人間か。

問題は、ユーザーの側にもある。そもそも多くのひとが口にする「フィルムの画質」って、いったい何だろう。
僕が思うに、それはミニラボの同時プリントの画質だ。ネガフィルムの広大な階調情報を圧縮してつくられた、最大公約数的に見栄えのする画質。そこに、フィルムカメラ特有のブレやボケのスパイスが乗って、絶妙の味わいが生まれる。僅かに濁った色味、ベタッとした色乗り、独特の不透明感も、観るひとのノスタルジアを誘う。

Konica Autoreflex T3 / Hexanon AR35mmF2 / RealaACE / (C) keita NAKAYAMA

Konica Autoreflex T3 / Hexanon AR35mmF2 / RealaACE / (C) keita NAKAYAMA

でもね、フィルムカメラの画質って、じつはぜんぜんそうじゃない。ミニラボ画質はたしかに魅力的だけど、あれはフィルムをプリントする段階で人為的につくられたもの。デジカメの絵づくりと、意味は変わらない。フィルムカメラだからそう撮れる、というのも違う。
まあ、そんな話はあまり喜ばれないだろうし、昔のカメラに入れ込んでいるひとなら、遅かれ早かれ気づくだろう。そう思って、このところケータイ付きコンデジで撮りまくっていたら、読者さまから「フィルムカメラの話を」というメールが寄せられた。

はい、やります。書かせていただきます。37年前のカメラと、その頃につくられた、飛びっ切り優秀なレンズたちで撮った今の写真を、7年前のフィルムスキャナにかけながら。

(この項続く)

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▲photo01:優美なシルバーボディのT3。撮ってから気づいたのだが、撮影中に手を触れる操作部材はすべてこのカットに写っている。主要機能は撮影者の右手側に集中しており、左手側は「ガラ空き」。後年のカメラはオート機能を増やすにつれ操作ボタンも増えていったのだけど、それはよく考えると変だな。
外観デザインは母体となったNew FTAに準じる。変更点はトップカバーのロゴ変更、巻き上げレバーへの指あて追加、セルフタイマーレバー(かつてのIIIAを思わせる造形)、それにエプロン部の意匠変更など。レリーズボタンは土台が「かさ上げ」された分だけ、ストロークが短くなった。
装着レンズはUCズームヘキサノン80-200ミリF4。後年の大口径望遠ズームよりひと絞り暗いが、軽量コンパクトで扱いやすい。しかも最短が「通しで70センチ!」。

▲photo02:ヘアサロンで洗い髪のモデルさまを、往年のヘキサノン広角で撮る。これはフル画面の半分をトリミングしたもの。広角でも絞り開放の最短(このレンズは30センチ)付近だとピント面がひじょうに浅く、下の睫毛はすでに深度から外れている。
AR35ミリF2はコニカSLRの歴史を支えた名レンズ。原型は60年代のFシリーズ用として供給され、ほぼそのままの光学設計でARマウント化された(反射防止コートは多層膜に変更されている)。ここで使ったのは最後期型。

▲photo03:上の写真の元画像。こちらはノートリ。こういう光の条件ではデジタルでも階調再現はほとんど問題がない。でもフィルム(ネガカラー)の自家スキャンなら、ハイライト側、シャドー側それぞれに思い通りのトーンを出せる。
70年代半ば以降のヘキサノンARは、今でもじゅうぶん実用に堪えるレンズが多い。もう少し旧い単層コートだと、スキャンと後処理がいきなり難しくなる。

Special Thanks to MAYUMI.

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