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Konica Autoreflex T3(2) : メイキングセンス。by 中山慶太

Konica Autoreflex T3(2)

2011-05-02 | 東京レトロフォーカス別室

Konica Autoreflex T3 / Hexanon AR28mmF3.5 / RealaACE / (C) keita NAKAYAMA

Konica Autoreflex T3 / Hexanon AR28mmF3.5 / RealaACE / (C) keita NAKAYAMA

趣味の道具を手にするきっかけはふたつしかない。好奇心と物欲である。
どちらも動機としては純粋で、それゆえにやっかいなものだ。これが生活や仕事のうえで欠かせない道具であれば、あれこれと思い悩むこともないのだが。

好奇心は、いつでも未知なる対象の刺激に反応する。過去に所有したものがまた欲しくなる場合もあるけれど、それは好奇心ではなく物欲の作用である。
そういえば昔、アラブの富豪がおなじメルセデスを色違いで7台ガレージに入れている、という話を聞いた。何曜日は何色に乗る、と決めていたらしい。ユダヤ教徒なら6台で済んだ筈だが、お金にはいろんな使い方があるものだ。

物欲はそれで満たされるとしても、好奇心はなかなか満たされない。というか、これは底なしの器みたいなもので、どれだけ蛇口をひねっても、水面がいっこうに見えてこない。まあそれで困るかといえばそうでもなくて、むしろ縁まで一杯にした器は栓をしておしまい。興味は次の趣味の器に移ってしまう。
そうして縁まで満たさずに放置した器が並ぶのも、人生にはよくあることだ。

ただし、中には、好奇心や物欲にはっきりと作用しない物品もある。実際には未知の対象なのに、誰もが知ったつもりになっているモノ。いわば「ありふれた、どこにでもある」道具たちだ。
たとえば、クルマの世界なら、昔のフェラーリの乗り味を語れるひとは滅多にいないけれど、昔のカローラは、ある年齢に達した日本人男性なら、誰でもよく知っている。正しくは「知ったつもりになっている」。

なぜって、昔の国産大衆車は、どれもおなじような思想で、おなじようなユーザーを相手にしていた。そこでおなじような技術とコストをつぎ込んでクルマをつくれば、結果も似たようなものになる。それを二台も乗り継げば、おなじ時代のクルマを見切った気分にもなるだろう。

(C) keita NAKAYAMA

(C) keita NAKAYAMA

そんな没個性で思想に欠けた道具に趣味性を見いだそうとすると、話はちょっと狭い方向に行く。若者向け、走り屋向けのスペックで武装した昔のカローラを買い込んで、ボディに「〇〇とうふ店(自家用)」と書き込む、みたいな。いや、あの主人公の愛車は「ハチロクのトレノ」だったか。
まあレビンもトレノも、クルマの本質としてはおなじようなもので、名称や外観の細かい違いにこだわるのは、やはり世界が狭い。狭くて悪いか、と言われたら、返す言葉がないけど。

何が言いたいのかといえば、今この連載で書こうとしているコニカの一眼レフだ。これも実は昔の国産大衆車といっしょで、よく似た思想と技術とコストで、よく似たユーザーに向けて開発されたカメラの一台なのだ。
だから好奇心や物欲には、あまり刺激を与えない。そういうカメラの違いを書きはじめると、話は狭い路地に入り込む。それを揶揄されたら、狭くて悪いか、と言い返したくなるだろう。

でもまあ、デジタル全盛の世の中で、70年代国産機を使うのは、どこかしら峠の走り屋に似たところがある。使う環境さえ限定すれば、昔の道具でも最新機種をカモれるかもしれない。しかも写真の世界なら、クルマと違って勝敗は自己申告の「言ったもん勝ち」だ。敢えて白黒つけるなら、モノクロフィルムが使えるカメラが有利に決まっている。

70年代の国産一眼レフは、ごく少数の例外を除けば、どれも趣味の道具としては大差がない。でもコニカの一眼レフには個性や思想とは別に、他にない存在価値があって、僕はそこに惹かれる。それはハチロクに憧れるひとたちが「後輪駆動」の四文字に物欲を刺激されるようなものだと思う。
そう、つまり、このカメラは「あのヘキサノンレンズが使える」のだ。

(この項続く)

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▲photo01:ヘキサノンAR28ミリで。ARマウントの28ミリには複数のバリエーションがあり、僕が使っているのはF3.5の最後期型(80年代製)。前期型の7群7枚から5群5枚に合理化されたためか、周辺はやや流れる。また周辺の光量もレトロフォーカス構成に期待されるほど豊富ではない(この画像は後処理で強調したが、実際は対称型ほど劇的な落ち方はしない)。このあたりが設計年次を感じさせるところで、つまり「中央重点型」のレンズ設計である。なおディストーションはよく補正されている。
実写ではトーンが出しやすく、ファインダーが暗くなることを除けば使いやすいレンズだ。

▲photo02:T3に装着したAR28ミリと角形フード。このフードは数年前にデッドストックを入手したもの。肉厚のダイカスト製で、内面の植毛処理など手抜きのない設計だ。ただし24ミリと兼用のため、遮光効果はベストではない。
実はこのレンズにはAR35ミリ用の角形フード(8ミリ深い)が装着でき、その場合も画面ぎりぎりでケラレが出ないのだ。昔は今よりもフィルターを常用するユーザーが多かったため、その分余裕を持たせたのだろう。もちろんコニカの設計者は「ノンフィルターでぎりぎりの組み合わせ」で使っていたに違いない。

制作協力:脊山麻理子

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