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Portraits (2) : メイキングセンス。by 中山慶太

Portraits (2)

2009-11-16 | 東京レトロフォーカス別室

Leica M5 / Voigtländer Nokton 35mm F1.4 S.C. /  F1.4 / 1/1000sec. / FUJICOLOR 100 / (C)  Keita NAKAYAMA

Leica M5 / Voigtländer Nokton 50mm F1.1. / F1.1 / 1/1000sec. / FUJICOLOR 100 / (C) Keita NAKAYAMA

そういえば彼女のことを僕はさいしょに「ハシバミ色の瞳」と呼んでいたのだった。

慣れというのは恐ろしいもので、デジタルで撮り続けていると、あの二次元的な描写に違和感をあまり覚えなくなる。人間の目で凝視しても決してそうは見えない、髪の毛一本を分離するセパレーションも、清流のように一滴の濁りもない色調も、それが当たり前と感じるようになる。
そういうデジタル機で昔のレンズを使うと、ちょうど良く曖昧な絵になる、というようなことを前の回で書いた。ではその逆はどうなのだろう、と思って、ごく最近のレンズをフィルムカメラで撮ってみた。
比較のために、半世紀前のレンズ+最新のデジタル機で撮った画像も付けておこう。

LUMIX GF1 / Leitz Summaron 35mm F3.5 /  F8 / 1/100sec. / AWB / ISO200 / (C)  Keita NAKAYAMA

LUMIX GF1 / Leitz Summaron 35mm F3.5 / F8 / 1/100sec. / AWB / ISO200 / (C) Keita NAKAYAMA

一見して分かるのが発色の違い。新しいレンズはフィルムで撮ってもやはり色の純度が高い。いっぽう昔のレンズはデジタルで使っても色に濁りがある。
また、ピントの良さ(合焦面の鮮鋭感)は圧倒的にデジタル。でもピクセル等倍でもうすこし子細に観察すると、僕の目にはやはり立体感に乏しい描写と映る。この両方の画像を拡大すれば、その差は明らかなのだけど、でも四つ切り程度の鑑賞サイズでは大差がない。たぶん誰も気付かないだろう。

暗い部屋でCRTディスプレイを使ってレタッチしていると、階調感の違いが立体感の差を生み出しているのがよく分かる。ではその差が液晶やプラズマで観察できるかといえば、これは今の技術では限界がある。僕がここに貼った画像も、液晶で観ればコントラストには違いがないはずだ。
そういうハイコントラストの絵づくりは、デジタルの罪ではなくて、たぶん二十年くらい前のリバーサルから続いている罪なのだ。ぱっと見で見栄えがして、ほとんどのひとが高画質と感じる絵づくり。そういう絵に慣れてしまうと、不自然と思えなくなる。

晩秋の斜光で彼女を撮っていると、とても眩しそうな表情をする。そうだ、彼女は瞳の色が薄いので、強い光には弱いのだった、と思い出す。だから光の条件を選ばないといけないのだ。

光を選ぶのは、機材の性質と被写体の個性を引き出すためだ。でも慣れてしまうとそれを忘れる。撮影結果をその場で確認して、細かい部分を見過ごすことも多くなった。
写真を扱う人間として、実はこれはかなり怖いことなのではないか。

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▲photo1:フォクトレンダー・ノクトン50mmをライカM5で撮る。絞り開放F1.1では、日中だとシャッタースピードが追いつかない。感度100のネガカラーを使ってぎりぎり実用の範囲。ピントは正確に合わせたつもりだが、やや弱く感じるのはコサイン誤差か。背景の大ボケはこのスペックならではだけど、こういう写真ではもっと絞った方が好ましい絵になると思う。ファインダーのケラレも過大。大口径レンズはやはり難物だ。

▲photo2:こちらはさる高貴な方が、別の高潔な方に譲られたライカの広角レンズ、ズマロン35mmF3.5(LTM)を最新のマイクロフォーサーズ機に装着して撮ったもの。焦点距離は2倍の70mmになる。ズマロンはたいへん優秀なレンズだが、カラー再現にちょっぴり偏りがある。フィルムなら補正は容易なのだけど、デジでは肌色の濁りにつながりやすく、補正もむつかしい。このことは「昔のライカレンズらしい、渋みのある発色がよく再現される」という言い換えもできる。

Special thanks to MAYUMI.

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