Sheltering with HEX’s(2)

2012-05-15 | 東京レトロフォーカス別室

Konica Autoreflex T3 / Hexanon AR40mmF1.8 /  FUJICOLOR Superia X-Tra 400 / (C)  Keita NAKAYAMA

Konica Autoreflex T3 / Hexanon AR40mmF1.8 / FUJICOLOR Superia X-Tra 400 / (C) Keita NAKAYAMA

雨の撮影は嫌いじゃない。
まず発色がいい。特に緑と赤が綺麗だ。彩度は全体に低めに、色温度は高めになるのだが、それも画面に独特のクールな雰囲気を与えてくれる。
もうひとつには、光量が少なめということがある。僕は被写体が「ちょいブレ」くらいで撮るのが好きなので、そういう露出設定が真っ昼間っからできる雨天は助かるのだ。晴天だと日陰や薄暮の短い時間を狙うことになり、いろいろと制約が多くなる。

まあそういう画面効果は好きなのだけど、やはり雨は雨。撮影機材のびしょ濡れは困る。ニコノスの持ち合わせはないし、撮影後に被写体にドライヤーを渡すのも、なんだし。
今回の撮影も、傘を片手に撮りはじめてはみたものの、“降り”はなかなか容赦がない。けっきょく橋の下で雨宿りしながら撮ることになった。
モデルのクニトウさんは、頼めば傘なしで撮らせてくれたと思うけど、それはもうすこし「撮っておき」のシチュエーションのために、とっておくことにしよう。

▲photo1:ヘキサノンAR40ミリF1.8、絞り開放。これは前回上げたカットのバリエーション。よく言われることだが、このレンズは逆光に弱い。おなじ時代のヘキサノンARで、おそらくもっとも弱い部類だ。コーティングが弱い? いや、このレンズに関しては鏡胴内部の対策が足りないか、またはエレメントの形状と配置に原因がある気がする。
この日も深めのラバーフード(なんと最大長でもケラレない)を使ったのだが、やはり画面右上がハレっぽい。この画像は後処理でトーンの「浮き沈み」をつなげたもの。暗部の色抜けはそのままにしてある。
まあいろいろと手間はかかるけど、こういう欠点は、まったく無くなると淋しいのが旧レンズの世界。短いレンズをフードで長くするより、ハレそのものを楽しんだ方が健全ではないか。

Konica Autoreflex T3 / Hexanon AR35mmF2 /  FUJICOLOR Superia X-Tra 400 / (C)  Keita NAKAYAMA

Konica Autoreflex T3 / Hexanon AR35mmF2 / FUJICOLOR Superia X-Tra 400 / (C) Keita NAKAYAMA

▲photo2:ヘキサノンAR35ミリF2、絞りF5.6。雨天では地表面の反射光が増えるためコントラストが低下する。風景撮影では問題だが、人物を撮るにはむしろ良い条件。霞む遠景もボケとは違う画面効果を与えてくれる。もちろん雨が写真に写るような降りだと話は別。
35ミリの焦点距離はこの情景には少し長め。ただし28ミリを選べば人物の撮影倍率が下がり、さらに寄って撮ればデフォルメ感が出る。人間の視覚から離れ過ぎず、人物と背景をそれなりのバランスで写せる、というところがライカ判35ミリの価値だろうか。

Konica AutoS1.6 / Hexanon 45mmF1.6 /  Ferrania Solaris FG Plus 100ISO / (C)  Keita NAKAYAMA

Konica AutoS1.6 / Hexanon 45mmF1.6 / Ferrania Solaris FG Plus 100ISO / (C) Keita NAKAYAMA

▲photo3:ヘキサノン45ミリF1.6、コニカ・オートS1.6、絞り開放。こちらも前回のバリエーション。カメラ位置を少し移動しただけで色調がまるで違う。これはレンズとフィルムと露出の組み合わせで「極端な低コントラストのネガ」をつくったため。結果としてひじょうに軟調の仕上がりになる反面、スキャナの読み取り誤差も拡大されやすい。前回と色調を揃えるのは難しくないが、ここでは暖色系を活かしてスキャンした。
誤差といえばカメラの視野枠にもそれがある。オートS1.6には(コニカが「生きているファインダー」と称した)撮影距離に合わせた補正を行うブライトフレームの備えがあるのだが、このカットのような最近接ではやはり誤差が生じる。おいおい画面下はもうすこし入れたはずだよ、とカメラを咎めても後の祭り。やはり無理をせず、余裕を持たせたフレーミングで撮るべきだった。
(この稿おわり)

制作協力:クニトウマユミ

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