Deprecated: Assigning the return value of new by reference is deprecated in /home/users/1/gloomy.jp-kono/web/nakayamakeita/wordpress/wp-settings.php on line 520

Deprecated: Assigning the return value of new by reference is deprecated in /home/users/1/gloomy.jp-kono/web/nakayamakeita/wordpress/wp-settings.php on line 535

Deprecated: Assigning the return value of new by reference is deprecated in /home/users/1/gloomy.jp-kono/web/nakayamakeita/wordpress/wp-settings.php on line 542

Deprecated: Assigning the return value of new by reference is deprecated in /home/users/1/gloomy.jp-kono/web/nakayamakeita/wordpress/wp-settings.php on line 578

Deprecated: Function set_magic_quotes_runtime() is deprecated in /home/users/1/gloomy.jp-kono/web/nakayamakeita/wordpress/wp-settings.php on line 18
AZABU十番勝負(3) : メイキングセンス。by 中山慶太

AZABU十番勝負(3)

2010-10-17 | 東京レトロフォーカス別室

Konica Acom-1 / AR40mmF1.8 / FUJI Speria Vinus 400 / (C) Keita NAKAYAMA

Konica Acom-1 / AR40mmF1.8 / FUJI Speria Vinus 400 / (C) Keita NAKAYAMA

麻布十番から元麻布に至る路地を歩いていると、過日の家並みの、遺構のようなものを目にする。いやそれは今でも人が住んでいる家の一部なのだが、今これを造ったらとんでもなくお金がかかるだろう、というほどに凝ったつくりなのだ。
陽の射さない路地にあるこの写真の石垣も、そういう遺構めいた造作のひとつ。昔のお屋敷の一部分なのだろうけれど、苔むしたその佇まいは、このうえなくフォトジェニックである。

撮影レンズは例によってヘキサノンAR40ミリ。実質43ミリという焦点距離は、なるべく身軽でいたい散歩写真に向いている。といっても、便利さなら今のズームの方がずっと上なので、このレンズの実用的な価値は「薄型」ということに尽きるのかもしれない。
そういえば、昔から標準レンズのカタログには、広角的にも望遠的にも撮れて便利、というコピーが判で押したように記されていた。強いキャラクターを持たないがゆえの商品性の弱さを、万能性にすり替えたわけだが、意地悪な見方をすれば「詭弁」である。

もちろん、カタログコピーに嘘はない。標準域に限らず、どんなレンズでも、撮り方の工夫で遠近感を強調することも、またそれを弱めることもできる。とはいえ、そういう使いこなしには、パースに対する理解が不可欠である。
パース、つまり遠近法(perspective)のことだが、実はこれをきちんと説明できる人はあまり多くない。少なくとも僕の周りの写真好きには存在せず、僕自身も上手く説明する自信はない。たぶん上手に説明できるのは、絵画や建築を学んだひとたちだろう。

Konica Acom-1 / AR40mmF1.8 / FUJI Speria Vinus 400 / (C) Keita NAKAYAMA

Konica Acom-1 / AR40mmF1.8 / FUJI Speria Vinus 400 / (C) Keita NAKAYAMA

ただし、ひとつ言えるのは、遠近感というのは「面の意識」のうえに成り立っているということ。これは通常、線に置き換えて説明されることが多い(消失点の説明など)のだが、その線は常に面の存在を説明するための線である。
そして、写真における遠近感とは、その面とレンズの光軸との、相対的な位置関係で決まるものなのだ、というようなことを、僕は麻布の路地裏の石畳を背景に撮りながら考えていた。
もしかするとこのレンズの価値は、そんな意識を撮影者に持たせるところにあるのかもしれない。

*******************

▲photo1:苔に覆われた石畳。触るとふかふかと心地よい。「苔は自分が好きな場所にしか生えない」とは、モデルのマユミさんの説。石畳の目はよく見えないが、平面に角度を取った撮影位置はパースを意識させる。

▲photo2:平面に正対すれば遠近感は消失し、レンズの焦点距離を推し量る手がかりも消える。

Special thanks to Mayumi.

Direct link to article on this site ”AZABU十番勝負”.
|3||5|

Trackback URL

------