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FUJI FinePix X100(3) : メイキングセンス。by 中山慶太

FUJI FinePix X100(3)

2011-09-05 | 東京レトロフォーカス別室

FinePix X100 / Fujinon Super EBC 23mmF2 / F8 1/55sec. / ISO200 / (C)  Keita NAKAYAMA

FinePix X100 / Fujinon Super EBC 23mmF2 / F8 1/55sec. / ISO200 / (C) Keita NAKAYAMA

X100はファインダーのカメラだが、分類はちょっとむつかしい。
そのレトロちっくな外観から、これを「ビューファインダーカメラ」と位置づけるひとは多いだろう。視野の明晰な光学ファインダーを覗けば、それもむべなるかな。
いっぽう、トップカバー前面のレバー(M型ライカのスプロケット開放レバーによく似ている)を操作して、ファインダーを電子ビューに切り替えると、どうなるか。これもビューファインダーには違いないが、得られる視野は一眼レフそのものである。

つまりX100のハイブリッドとは、「OVFとEVFの両使い」の意味だけでなく、(レンジファインダーを含む広義の)ビューファインダーと、レンズを通して視野を得る一眼ファインダーの、いわばイイトコ取りという意味である。これはひょっとして、内燃機関と電気モーターの組み合わせよりも、ずっと賢い組み合わせかもしれない。

ん、前回の記事で「ギミックかも」などと書いたのに、今回はベタ褒めかい。そう言われないために、このファインダーがプリウスよりエラい点を書いておこう。
まず感心するのは、ビューファインダー機の弱点が、ほぼ完全に払拭されれているところ。その種のカメラの弱点といえば、まず思い浮かぶのが「寄れないこと」。すなわち近接撮影能力を持たないことである。

これはファインダーと撮影レンズを別建てにしたカメラの宿命で、人間でも指を顔に近づけながら左右の目を切り替えると、像がずれる現象が確認できる。これが視差(パララックス)だ。
M型ライカはこの問題を解決するため、視野枠を移動させる補正機能を世界ではじめてファインダーに組み込んだのだが、その補正にも限界があり、およそ70センチあたりで視野がレンズにケラれ、実用に堪えなくなる。その距離がそのまま近接撮影限界になっているわけだ。

X100はこの弱点を、電子ビューファインダーという飛び道具で克服した。視野枠はライカと同様の補正が効き、カメラをマクロモードに切り替えると、OVF使用時でも自動的にEVFに切り替わる。つまり近接時は一眼カメラとして機能することで、精密なフレーミングが可能になっている。
まあフルサイズ換算で35ミリという画角のレンズでは、被写体に寄りたい場面はさほど多くはないのだけど、それでも撮影中に「これより先、寄るべからず」と言われるより、ずっといい。レンズの画角については、この先に発表されるであろう上級機に期待しよう。

FinePix X100 / Fujinon Super EBC 23mmF2 / F8 1/60sec. / ISO320 / (C)  Keita NAKAYAMA

FinePix X100 / Fujinon Super EBC 23mmF2 / F8 1/60sec. / ISO320 / (C) Keita NAKAYAMA

古典的ビューファインダー機のもうひとつの弱点は、被写界深度の確認ができないこと。これは先行するレンジファインダーデジタル機が、背面液晶モニタを積んで解決済みだ。とはいえ、ビューファインダーを覗いたままそれができるX100の前では、ライカMデジタルといえども不完全な、進化の途上にあるカメラと思えてしまう。

進化の新たなフェーズに突入したとはいっても、X100のファインダーにはまだ発展途上の部分がある。それは電子ビューの映像が、写真画質と隔たりがあることでも明らかだ。本機を手にしてはじめてOVF→EVFを切り替えたときは、正直がっくりした。一瞬、「こんな写真しか撮れないのか」と早トチリ(というか錯覚)したからだ。
もちろんそんなことはなく、たんに電子ビューを出画するパネルの性能が、現時点ではまだ未成熟なだけ。撮影画像はものすごくちゃんとしている。でも写真を撮る側としては、光学ファインダーと電子ファインダーと液晶モニタの「見え」がそれぞれ違うのだから、これはちょっと混乱のもとではあるだろう。

と、まあ、両手を挙げて絶賛したいところもあれば、片手をちょっぴり持ち上げるくらいのところもあるX100のファインダーなのだけど、そういうのはいわば枝葉末節。良い点もそうでないところも、使ってるうちに慣れてしまう。
そうではなくて、本機のハイブリッドファインダーの価値とは、カメラをおでこにくっつけて撮れるところにあるのだ。って前回とおなじ結論で、話がまるで先に進まず申し訳ない。

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▲photo01:AWBはおおむね安定しているが、空抜きの条件では多少の補正は必要(これはフィルム撮影でもおなじこと)。露出レベルを考えるとDR=ダイナミックレンジ拡張モードに手が伸びる条件だが、あえて100%で撮る。トーンは「出せば出すほど良い」わけではなく、多少の白飛びや黒潰れが良い効果を与えることもある。特にフィルムシミュレーションを使う場合、DR100はもっともバランスの良い、完成度の高い画質になることが多いのだ。
JPEG最大サイズ・最高画質で記録。トリミング約90%、露出オート、フィルムシミュレーション=PROVIA。

▲photo02:快晴の夕刻、ビルの屋上で。X100が積むフジノン23ミリは「絞ればシャープ、開放は気持ち軟らかめ」が設計コンセプトらしい。ならば人物は絞り開放で撮りたくなるのが人情だが、やはり被写界深度は画質に優先するので、ここはF8まで絞ることにした。
ちなみにこういう光の条件では、通常のカメラでは撮影感度を上げないと絞り開放はむつかしいところだが、NDフィルター内蔵のX100なら絞りを自由に選べてありがたい。カメラがあまり進化すると撮影者が退化するのではと心配になるくらい、これはよく考えられたカメラである。
JPEG最大サイズ・最高画質で記録。ノートリ、露出オート、フィルムシミュレーション=PROVIA。

Special thanks to MAYUMI & YUKITAKA.

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