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UC Zoom-Hexanon AR 80-200mm F4 : メイキングセンス。by 中山慶太

UC Zoom-Hexanon AR 80-200mm F4

2011-07-21 | 東京レトロフォーカス別室

Konica Autoreflex T3 / UC Zoom-Hexanon AR 80-200mmF4 / Superia X-Tra 400 / (C) keita NAKAYAMA

Konica Autoreflex T3 / UC Zoom-Hexanon AR 80-200mm F4 / Superia X-Tra 400 / (C) keita NAKAYAMA

良いレンズとは、つい手が伸びるレンズのことだ。
写真の価値がレンズの性能に左右されると、そう信じていた頃は、重い機材も苦にならなかった。素晴らしい情景が自分を待っているのだから、あのレンズもこのレンズも持って行こう。
それが少しずつ苦になりはじめた理由は、体力よりもむしろ気力の衰え。というか、たんにレンズ交換が煩わしくなったためである。

不思議なもので、出先でのレンズ交換が面倒になっても、ズームを選ぶという発想はまったくなかった。あれは仕事でやむを得ず使うレンズで、趣味で使うのは邪道。ああいうものを使うと人間が堕落する。男はやっぱり単焦点でしょう。ってなんのこっちゃ。

いやいや、そうじゃない。僕がズームを使わないわけは、趣味で持ち歩くような旧製品には、面白そうなレンズが見当たらないからだ。なぜそうなのかは、また機会があったら書くとして、昔の(おおむね70年代までの)ズームには「そそる製品」がほとんどない。
そんなこんなで、このレンズも入手した直後に数カット撮って、あとはずっと埃を被ったままだった。コニカUCズームヘキサノンAR80-200ミリ F4。長い名前だ。

Konica Autoreflex T3 / UC Zoom-Hexanon AR 80-200mmF4 / Superia X-Tra 400 / (C) keita NAKAYAMA

Konica Autoreflex T3 / UC Zoom-Hexanon AR 80-200mm F4 / Superia X-Tra 400 / (C) keita NAKAYAMA

モデル名の頭に付く「UC」のUは ”Ultara” の、Cは ’’Coated” ”Compact” ”Close” の、それぞれ頭文字だという。今風にいえば「超コーティング、超小さくて超寄れるし〜」みたいな。和英どっちも大人が口にするのは憚られるフレーズなので、このさい略文字はありがたい。
レンズ構成は10群14枚。このうちズーミングに合わせて移動するのは中央の2群5枚のみで、全焦点域で全長は不変。これがコンパクトを標榜する理由かもしれないが、長さは200ミリレンズそのものだから、やや看板に偽りがある。

とはいえ、他の二つの「頭文字C」は掛け値無しだ。特にズーム全域で最短70センチというのは、この焦点域のレンズとしては驚異的で、これは長らくレコードホルダーだったはず。ズームで何が腹が立つかといえば、最短が「望遠側の単焦点と変わらなくなる」ことなのだが、このレンズは80ミリレンズとしても寄れる部類だ。
まあ、そうはいっても、コンピュータ支援設計がまだ本格化していない時代の製品(発売は70年代半ば)だから、描写性能がとんでもなく素晴らしいわけではない。今の基準に照らせば、「そこそこ使える」と言った方が誤解がないだろう。

でも、必要にして充分なレンズというのは、実はなかなか侮れないものだ。要は使い手の使い方次第。誰がどう撮っても素晴らしい結果を出すレンズよりも、少なくともやる気が出る。そういう意味では、これはやはり佳いレンズなのだと思う。

Konica Autoreflex T3 / UC Zoom-Hexanon AR 80-200mmF4 / Superia X-Tra 400 / (C) keita NAKAYAMA

Konica Autoreflex T3 / UC Zoom-Hexanon AR 80-200mm F4 / Superia X-Tra 400 / (C) keita NAKAYAMA

ただし重量は830グラム。質感の良い金属鏡胴(これは今の製品が及ばぬところ)とのトレードオフとはいえ、コニカT3に装着すると総重量1.6キロ弱になる。望遠ズームだけを持ち歩くことはまずないので、気軽な散歩にはまるで不向きだ。そろそろ鈍った身体を鍛え直さないと、いけないな。

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▲photo01:雨のオープンカフェで、手近な花壇にレンズを向ける。焦点距離200ミリ、絞り開放、シャッタースピードは1/60秒。ピントが甘めに見えるのはブレ(カメラは手持ちで微風という条件)に加えて被写界深度が極薄のため。光量の足りない条件でもコントラストはよく保たれ、おかげで発色もいい。こういう絵画的な色調はフィルム写真が得意とするところだ。

▲photo02:風が止む瞬間を待って撮る。条件は上とほぼおなじで、撮影距離が離れた分だけ被写界深度は深くなっている。背景に浮かぶシルエットは手前にある花が前ボケで消えた名残り。コントラスト、発色、ピントともに及第点といえる写りだと思う。
主要被写体の前後は綺麗にボケているが、こういう条件ではどんなレンズでも似たような結果になる。いわゆる「ボケ味」を語るなら、もっと前後に被写体を配した写真でないと無理だ。UC80-200ミリは70年代の設計だから、あまり多くを望まない方がいいだろう。

▲photo03:和食屋の店内からガラス戸越しに暖簾を撮る。焦点距離200ミリ、絞り開放、シャッタースピードは1/125秒、カメラは手持ち。ガラスに入ったワイヤーの格子にピントを合わせ、お客が暖簾をくぐるところを待っていたが、誰も来ないのでそのままレリーズした。
このサイズで観る限り、ピントは「ちゃんとしている」。拡大すれば画面周辺の格子の線に色の滲み(倍率色収差)が観察できるのだが、そんなことで鬼の首を取るのは大人気ない。昔のレンズは心にゆとりを持って接してあげたい。

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