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M Returns / 05 : メイキングセンス。by 中山慶太

M Returns / 05

2014-07-31 | 東京レトロフォーカス別室

Mamiya ZD / Mamiya Sekor 80mm F2.8D / F3.5 1/160sec. ISO250 Av / *Trimmed / © Keita NAKAYAMA

Mamiya ZD / Mamiya Sekor 80mm F2.8D / F3.5 1/160sec. ISO250 Av / *Trimmed / © Keita NAKAYAMA

居心地の悪い理由を考えていたら、筆が止まってしまった。

いったんそうなると、また動かすのには弾みが必要だ。仕事とちがって締め切りのない書き物では、自分で納得できる理由を探すうちに、興が削がれることも多い。当初に予測した着地点がズレてしまうためかもしれない。だが今回は結末が見えている。

東大本郷キャンパスの旧建築群が、ふたつの災厄に挟まれて生まれたということはすでに記した。この土地と建築、そしてそれに関わる人々の年譜に目を通せば、そこに歴史の必然が浮かび上がる。まずその顛末について書いておこう。

東京帝大(現・東京大学)では震災で被害を受けた学内施設の再建にあたり、建物だけでなくその配置を根本から改めることを決める。そのプロジェクトチームを率いるリーダーの任を与えられたのが、建築学者・内田祥三(うちだよしかず)である。

内田は東京が震災に見舞われた大正12年、帝大建築学科で教鞭を執っていた。その二年ほど前に教授職に就いたばかりで、齢はまだ四十に届いていない。さしずめ先輩教授を何人抜きの大抜擢というところだが、大型物件の経験をほとんど持たない内田には、いかにも荷が重そうである。他に適任者はいなかったのだろうか。

真っ先に名が上がりそうな人物といえば、内田の恩師である佐野利器(さのとしかた)であろう。佐野は帝大の教壇に西欧流の建築理論を持ち込み、特に耐震設計と密接にかかわる構造計算の分野で、高い声望を得ていた。震災後の帝都復興の要となった後藤新平の覚えも目出度く、母校のために割ける時間はおそらく無かったはずである。

これは勝手な想像だが、帝大設備の再建を打診された、あるいは意見を求められた佐野は、自身の代役として教え子を推挙した。その筆頭が自分の理論をよく咀嚼し発展させた内田であった、ということではないか。

佐野の弟子筋といえば、他に内藤多仲(ないとうたちゅう)も目立った存在だ。のちに東京タワーを設計する内藤は内田と同年代。しかしこの時点で帝都の大型物件をいくつか手がけている。ただしこちらは卒後に早稲田に転出しているという問題があった。先の人選に学閥が作用したとする傍証はないが、帝大の生え抜きという点で、内田は無理のない人選であった。

では我が国の近代建築において、佐野や内田らはどのような役割りを担ったのか。

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制作協力:脊山麻理子

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