Hazel in Blue(1)

2013-04-06 | 東京レトロフォーカス別室

Nikon FE2 / Mir-24N 35mm F2 /  Speria X-TRA 400  / (C)  Keita NAKAYAMA

Nikon FE2 / Mir-24N 35mm F2 / Speria X-TRA 400 / (C) Keita NAKAYAMA

脊山さんと横浜を歩くのは十年ぶりだ。
前回この港町を訪ねたときは、彼女はまだ大学生で、珍しく傘をさしていた。英国人みたいに傘を使わない主義(持ち歩いても滅多にささない)ではなくて、僕が彼女を撮るときは晴天率が異常に高いのだ。

「この前に降られたのって、いつだっけ」
「いつでしたっけねえ」

互いの記憶をたどってもすぐに答えは出ない。それくらい傘には縁遠い僕らなのだけど、いちど酷い目にあったことがある。それはファインピクスX-100でロケをした時で、撮りはじめる直前にゲリラ豪雨に見舞われて蕎麦屋にて待避。そこで二時間半を潰して、けっきょく屋内での撮影に切り替えた。たぶんあれはこの何年分かの雨を神様がまとめて、ついでに利息もたっぷりつけて落っことしたのだろう。

Konica Autoreflex T3 / UC Zoom Hexanon AR 80-200mm F4 /  X-TRA 400  / (C)  Keita NAKAYAMA

Konica Autoreflex T3 / UC Zoom Hexanon AR 80-200mm F4 / Speria X-TRA 400 / (C) Keita NAKAYAMA

待ち合わせは午後二時半。この撮影で撮りたい光はまだ待つ必要がある。三月も後半に入って日は延びているけれど、フィルムで撮れるのは五時半くらいまで。狙った光が来るのはその前の一時間ほどだろう。それまで何をして過ごすのかといえば、もちろん遅めのランチだ。

脊山さんが選んだのは、中華街の路地の奥にあるちいさな料理屋。オーダーから料理が出るまで時間がかかりそう(大店のようにランチのつくり置きをしない)だが、予定したロケ場所までは、歩いて十分ちょっとの距離。いつものように寄り道をしながら歩いても、充分に間に合うはずである。

料理を待ちながら、用意したカメラ2台にフィルムを詰める。ボディはこのところストラップを付けっぱなしにしている(僕は常用しないカメラにはストラップを通さない)ニコンFE2とコニカT3。レンズもニコン用に35ミリが2本、ヘキサノンは40ミリと望遠ズーム。これも代わり映えがしないけど、今回は脊山さんのマミヤZDという飛び道具もある。

Konica Autoreflex T3 / Hexanon AR 40mm F1.8 /  X-TRA 400  / (C)  Keita NAKAYAMA

Konica Autoreflex T3 / Hexanon AR 40mm F1.8 / Speria X-TRA 400 / (C) Keita NAKAYAMA

実は出がけに、久しぶりのライカに手が伸びかけたのだが、すんでのところで思い留まった。この日の撮影を横浜に決めたのは、撮りたいイメージが「突然、ゲリラ豪雨のように」空から落っこちてきたからで、それにはライカの精密な感触がいまいち合わない気がしたからだ。

そのイメージを伝えておいたら、脊山さんはそれに合う服と、もうひとつスペシャルな小道具を持参してくれた。映画「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」に出て来るような、シックで謎めいた色の瞳だ。
(この項続く)

制作協力:脊山麻理子

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