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Orchid : メイキングセンス。by 中山慶太

Orchid

2012-05-24 | 東京レトロフォーカス別室

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 /  6.3mm F3.1 1/90sec. ISO200  / (C)  Keita NAKAYAMA

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 / 6.3mm F3.1 1/90sec. ISO200 / (C) Keita NAKAYAMA

愛用のカメラケータイが、目出度くカタログ落ちした。

いつそうなったのかは知らない。発売から1年経った頃に消えたとしたら、今年の2月くらいか。ずいぶん気が早い気もするけど、ケータイとしてはまあ普通のサイクルだと思う。普通のカメラだったら、あと1年かそこらはカタログに載っていた筈だけどね。

面白いのは、この機種を使いはじめてからこっち、機種名を言い当てたひとが(このサイトの読者は別として)誰一人としていなかったこと。いや機種名だけでなく、こういうケータイが存在することすら知られていなかった。まあ僕のまわりには、モバイル系のガジェットに興味を持つひとが少ない、ということもある。

考えようによっては、人目を惹く効果がいつまでも持続する、つまり「新車効果」が長続きするクルマに乗っているようなものだから、これはお得な機種である。ほんとうは「珍車効果」と言った方が当たっているとしても、誰も振り向かないようなクルマに乗るよりは、よほどいいんじゃないか。

もちろん、売れないよりは売れてくれた方がずっといい。ヒット商品になれば後継機種だって出るだろうし、他社からも似たようなコンセプトで後追いがあるだろう。そうなれば次の機種変も愉しくなるはずだった。
それが夢で終わったのは、世の中が林檎マークのスマホ一色に塗りつぶされた、という事情もあるけれど、むしろ現実は「カメラに多くを求めるひとの数が、実はそんなに多くなかった」のではないかと思う。これはケータイに限らず、コンデジを含めての話だ。

メーカーにしてみれば、「突出した性能をウリにしにくい」のは困ったことだろうけれど、僕はそれで健全だと思っている。日本の製造業は、本来はマニア向けの商品をブームにして、特に必要としない層にまで売ってしまう、というやり方をずっと続けてきた。かつてのオーディオしかり、クルマでいえばRVとかワンボックスとか。最近は自転車なんかにもそういう傾向が看て取れる。

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 /  6.3mm F3.1 1/80sec. ISO200  / (C)  Keita NAKAYAMA

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 / 6.3mm F3.1 1/80sec. ISO200 / (C) Keita NAKAYAMA

写真の世界でも、一眼レフのような特殊なカメラを、ファミリー層に向けて大量に売っていたのは、そう遠い昔の話じゃない。こういう「過剰な性能が売れる」という傾向は、ちょっと語弊はあるけれど「文化の発展途上国に特有の事情」だと思うので、そういうブームを煽るやり方が通用しづらくなったということは、日本の社会が成熟した証かもしれない。
まあ当のドコモも、このカメラケータイを売り出した際に、「ニッチ狙い」を公言していたのだから、その狙いが当たったのなら、それはそれで結構なことである。

ただひとつ残念なのは、僕みたいに写真にこだわりのあるニッチ層の間で、この機種の話題があまり盛り上がらなかったことだ。細かい機能や使い勝手については、いろいろ問題もあるにせよ、「あるレベルを超えた画質と機能を持つカメラを、日常的に持ち歩ける(というより半強制的に持ち歩かせる)」というコンセプトは、ものすごく正しい。僕は今でもそう思っている。

そういえばクルマの世界でも、製造が打ち切られた後に「名車」と呼ばれる車種がある。ドコモL-03Cも、いつか「名機」と呼ばれる日が来るのだろうか。たぶん来ないと思うけど、別にそれでも構わない。日陰に咲く花のような機種を使うのはいつものことだし、それがディスコンになったからといって、写真が撮れなくなるわけじゃないし。
ただ壊れたときに「修理不能」と言われ、窓口で別の機種を差し出される日が近くなるのは、ちょっと困るけどね。

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▲photo1/photo2:高層ビルの窓際でのランチタイムに、ポケットから取り出したカメラを片手で突き出し、最短撮影距離を超えて撮る。大柄な一眼レフではテーブルの上に置くのも憚られるし、置いたとしてもこんな撮り方はしないだろう。カメラや撮り手はなるべく目立たない「日陰者」で構わない。被写体が日向に咲いていてくれれば、それでいいのだ。

制作協力:脊山麻理子

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