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西暦二〇一二年の夏休み(4) : メイキングセンス。by 中山慶太

西暦二〇一二年の夏休み(4)

2012-07-21 | 東京レトロフォーカス別室

Apparate & Kamerabau AkARETTE / Tele-Xenar 90mm F3/5 /  efiniti UXi super200 / (C)  Keita NAKAYAMA

Apparate & Kamerabau AkARETTE / Tele-Xenar 90mm F3/5 / efiniti UXi super200 / (C) Keita NAKAYAMA

ひとはそれを懐古趣味と呼ぶ。
そりゃあ誰だって、昔の思い出に浸りたいことはある。毎日がよく似たことの繰り返しで、その繰り返しのなかに織り込まれているニュースに、先行きへの希望がほんの少ししか入っていなければ、なおさらだ。
でもだからといって、ふた言めには「昔はこうだった」では、あまりに後ろ向きではないか。特にそれが夏の海の思い出話だったりするのは、我ながらどうしたものかと思う。

ランチを終えた海の家で、そんなことを考えながら、大昔のカメラを手にする。半年ほど前に機材棚の奥から発掘した、旧西ドイツ製アカレッテ。あの時は傷玉の標準で撮ったのだけど、この日はぴかぴかの望遠を用意していた。十年ほど前に本体といっしょに入手して、いちども使っていなかったシュナイダー・テレクセナー90ミリだ。

このレンズ、絞り開放でエフサンゴーだから、まあ当時としては「普通に明るい」部類で、スペックに見るべきものはない。外観は分厚いクロムメッキが眼を引くものの、鏡胴デザインは没個性的だ(シュナイダーのレンズにはそういうものが多い)。
だからあまり記憶に残らなそうなレンズなのだが、そうした印象は手に持つと一変する。まるで砲弾のように重く、顕微鏡のように精密なのである。

Apparate & Kamerabau AkARETTE / Tele-Xenar 90mm F3/5 /  efiniti UXi super200 / (C)  Keita NAKAYAMA

Apparate & Kamerabau AkARETTE / Tele-Xenar 90mm F3/5 / efiniti UXi super200 / (C) Keita NAKAYAMA

どうしてそんなに重いのか、とか、レンズ構成は、という話はまた少し先に譲るとして、描写はどうか。いや旦那、そう先を急がずに。だってなにしろ、半世紀以上も前の古物ですから。今日びのレンズとおなじような絵が、一発で出るわけがありません。

いや、駄目ということはないんですよ。というよりこれは凄くいい気がする。ほら、レンズを通った光が半世紀前に戻ったみたいでしょう。この海岸で昭和の半ばに、こういうレンズでこんな写真を撮っていたひとが、いたかもしれない。大切な家族の笑顔とか・・・昔のアルバムにそういう写真が貼ってあったり、しませんでしたか?

つまり、思うに、懐古趣味というのは、写真というフィルターで思い出を美化しようとする、おセンチな人間に特有の嗜好なのだ。もちろんそれは悪いことではないけれど、ほどほどにしておいた方がいい。光は前に進む足下を、つまり未来を照らすものなのだから。
(この項続く)

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▲photo01:最近の調査により「目測撮影の失敗数は焦点距離の二乗に等しい」という法則性が明らかになった(嘘)。まして絞り開放ともなると、ほとんど博打である(これは本当だ)。
このカットは秘密兵器の巻き尺で距離を測って撮ったものだが、ピントはやはり微妙に外れて見える。しかも逆光でハレ切りなしで撮ったため、コントラストも相当に低い。ではこの写真が、もし最新のカメラとレンズで撮られていたら、結果はもっと良かっただろうか?
そうだ、そうに決まっていると、即座に首を縦に振れるなら、僕もいつまでも旧いカメラを持ち歩かずに済むだろう。もちろんそういう画質の問題よりも、この笑顔にどれだけ素早く反応するか、の方がずっと大切なのだが。

▲photo02:アカレッテの困難はピントだけではない。2焦点分を積んだファインダーがレンズの実焦点距離に忠実ではない(ちなみに僕の手元にあるボディのファインダーは50/75ミリ、レンズは45/90ミリ。これは正しい組み合わせも入手可能だが、それでも正確な視野は望めない)ため、正確なフレーミングが不可能なのだ。
このカットはノートリ(上もそう)だが、目線の先にある右手はここまでしか写っていない。これはうっかり余裕を持たせなかった僕のミス。目測機に限らず、視野枠を持たないカメラ全般にいえることとして、昔のカメラは(M型ライカなどの例外を除き)トリミング前提でつくられていたことを忘れてはいけない。
これもハレ切りなしで撮ったもの。順光に近い条件だが、コントラストはまだ低め。

制作協力:脊山麻理子

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