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Three Views of a Secret : メイキングセンス。by 中山慶太

Three Views of a Secret

2011-01-27 | 東京レトロフォーカス別室

Konica IIIA / Hexanon 50mm F1.8 /  Kodak Portra 400VC / (C)  Keita NAKAYAMA

Konica IIIA / Hexanon 50mm F1.8 / Kodak Portra 400VC / (C) Keita NAKAYAMA

世界三大ナントカ、というものがある。
よく知られたところでは、クラプトンとベックとペイジ。って知らないひとのために書いておくと、これは「ロック三大ギタリスト」である。三人ともおなじバンドに在籍したことがあって、それぞれ音楽性は違えどビッグネーム。なんだけど、前二者はともかくペイジはなあ、と、昔から動議が提出されやすい人選だった。

音楽関係なら、パヴァロッティとドミンゴとカレーラスという、いわゆる三大テノールが通りが良いだろうか。でもこれも「神と秀才と凡人」は失礼だけど、約一名は「言ったもん勝ち」の印象が強い。ちなみに原語では”The Three Tenors”であって、定冠詞の強調はあるものの、ビッグやグレートの文字はどこにもない。

もうすこし身近なところでは、食材のトリュフとキャビアとフォアグラ。これは世界三大珍味という触れ込みだが、やはりしっくりこない。魚の卵食いの日本人からしてみれば、キャビアってそんなにウマいか? カラスミの方がエラくないか? という以前に、僕は珍味という字面(じづら)に抵抗がある。なんか酒のツマみたいだし。
それと、ニワカ食通を気取って言わせていただければ、トリュフは日本で食べて感心したことがいちどもない。あれはねえ、現地で食べなければ分からんのですよ。特に白トリュフ。あのプロパンガスみたいな、噎せ返るような香りは、冷凍して日本に運ぶと80dBくらい低下する。嘘だと思うひとは、11月の北イタリアはピエモンテ州アルバまで脚を運んでみるといい。ぜったい悶絶します、保証します。

Konica IIIA / Hexanon 50mm F1.8 /  Kodak Portra 400VC / (C)  Keita NAKAYAMA

Konica IIIA / Hexanon 50mm F1.8 / Kodak Portra 400VC / (C) Keita NAKAYAMA

と、まあ、いろいろ異論はあるのだけど、問題はそういう三つを誰が選ぶのか、どうすれば大向こうにオーソライズされるのか。かねがね不思議に思っていたのだが、そこには某(なにがし)かの法則性があるようだ。

ひとつには、三という数字が示すバランスである。二にはなく、四にもない、微妙な力関係。これは図形で考えると、なんとなく理解できる。三角形は多角形でもっとも単純で、ひとつの頂点の角、ひとつの辺の長さは他のふたつに決定的な影響をあたえ、ひとつの辺は他の二辺に必ず接する。そこに曖昧さは微塵もない。おそらく円の次に完全に近い形だろう。

音楽でいえば、三人編成=トリオは、アンサンブルと呼べる形態の最小単位で、たぶんもっとも緊張感がある。二人(デュオ)では和音とリズムを補完する関係しかつくれないし、四人(カルテット)またはそれ以上の編成になると、音に厚みや装飾が加わるけれど、それは音楽にとって贅肉でもある。なにより、人数が増えることで、予定調和という名の馴れ合いに陥りやすい。

先のクラプトンが在籍していたクリーム、ベックが組んだBBAなどは、ライヴではもうこれ以上やると死人が出るという、ギリギリの一触即発状態を売りにする「パワー・トリオ」だった。ああいう演奏は、他人の音をちゃんと聴いて瞬時に反応しないと、ぜったいにできない。そこに三角の関係性が生きてくる。

さて。なにが言いたいのかと言えば、こういうことだ。三角形は、頂点がひとつ欠ければ、二点を結ぶただの線になる。線は面をつくれない。つまり、三という数字は、世界を提示するうえでの最小単位ともいえる。
世界三大ナントカについても、特に裏付けのないものが人口に膾炙するのは、とりあえず個性が違うものが三つ並ぶことで、そのジャンルを形づくる世界が見える、ということではないだろうか。

Konica IIIA / Hexanon 50mm F1.8 /  Kodak Portra 400VC / (C)  Keita NAKAYAMA

Konica IIIA / Hexanon 50mm F1.8 / Kodak Portra 400VC / (C) Keita NAKAYAMA

というわけで、今回はさいきん撮った一本のフィルムから、三つのカットを選んで並べてみた。撮影日は二日に分かれているけれど、まあこのところの撮り手の心情とか心境とか、そういうものを見せるのに面白いのでは、と思ったのだ。
カメラは絶息寸前のコニカIIIA。ロールのラスト数カットは、シャッターが開きっぱなしのままコマ間まで露光していた。それで残りは三十カット、セレクトも楽チンだろうと思えばそうでもない。二点まではいろいろ選べても、最後の一点が出てこない。これはつまり、確たる世界を持たないままに撮っている、ということなのか。
カメラも壊れたし、アガリにも納得できないので、折りをみてまた挑戦することにしよう。

ところで「世界三大カメラ」というものは、今のところ定義されていないようだ。でも、もしあるとすれば、いったい何が相応しいだろう。ライカとニコンとキヤノン、を推すひともいるかもしれないけれど、僕の頭に浮かんだのは、ぜんぜん違う取り合わせである。HとRとL(ライカじゃないよ)と書けば、なんとなく想像がつくだろう。

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