Deprecated: Assigning the return value of new by reference is deprecated in /home/users/1/gloomy.jp-kono/web/nakayamakeita/wordpress/wp-settings.php on line 520

Deprecated: Assigning the return value of new by reference is deprecated in /home/users/1/gloomy.jp-kono/web/nakayamakeita/wordpress/wp-settings.php on line 535

Deprecated: Assigning the return value of new by reference is deprecated in /home/users/1/gloomy.jp-kono/web/nakayamakeita/wordpress/wp-settings.php on line 542

Deprecated: Assigning the return value of new by reference is deprecated in /home/users/1/gloomy.jp-kono/web/nakayamakeita/wordpress/wp-settings.php on line 578

Deprecated: Function set_magic_quotes_runtime() is deprecated in /home/users/1/gloomy.jp-kono/web/nakayamakeita/wordpress/wp-settings.php on line 18
水辺からの八葉の写真(1) : メイキングセンス。by 中山慶太

水辺からの八葉の写真(1)

2011-04-07 | 東京レトロフォーカス別室

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 /  7.7mm F3.4 1/160sec. ISO64  / (C)  Keita NAKAYAMA

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 / 7.7mm F3.4 1/160sec. ISO64 / (C) Keita NAKAYAMA

水門の桜が見事な蕾みをつけたそうだ。
いつもなら、その先の開花を遠目に眺めて済ませるのだが、今年は散歩の脚を伸ばすことにする。理由はとくにない。
家から二十分とすこし。通い慣れた界隈は、この街でいちばん趣のある一帯で、堤防に沿って設(しつら)えられた船着き場など、かくべつに写真的な風情に満ちている。なのになぜか、水辺にレンズを向けるひとを見かけない。晴れた休日の午後なら出逢えるのだろうか。

写真が縁で知り合ったMさんは、よく船着き場に出向いて写真を撮るという。彼女の住まいは横浜なので、散歩のコースも大型船が出入りする港湾になる。写真散歩は日課だけど、でも先の震災からしばらくの間は、そちらに脚が向かなかった。僕とおなじように「趣味の写真への後ろめたさ」があった、だけでなく、海が怖くて近づけなかったのだそうだ。
それはあの街のひとたちの多くが抱いた感情で、余震が収まるころに勇気を振り絞って出かけた臨港パークは、まるで無人のように見えた、と話してくれた。

僕の地元の川べりは、そんな港湾ほどのスケールはもちろんない。それでも堤防は、ひとの背丈の三倍ちかい高さがある。この壁で河を囲ったおかげで、街なかを往き来した運河の小舟は、水門をくぐって出入りするようになり、やがて運河そのものが廃れてしまった。
そんな人造物に囲まれる前は、おそらく低い堤がどこまでも続いて、今よりもさらにずっと風情にあふれた水辺だったろう。

堤が堤防に換わった理由は、このあたりが所謂「ゼロメートル地帯」だからである。橋ができる前は渡し船があり、堤防がつくられる前は、大雨の度にいろいろと難儀な思いをした。いぜんに祭りの境内で、地元の古老がそんな問わず語りをしてくれた。
あのときの老人の言葉を思い出しながら、高い壁の上に立って周囲を見わたせば、そこにはいつもと変わらぬ、穏やかな水辺がひろがっている。

堤防が築かれる前のことや、それが失われるときのことを想像するのは、僕にはむつかしいことだ。たぶん誰にとってもそうだろう。平和とは、いつだってそういうものなのだ。

▲photo01:水門脇の桜と運河の廃船を「ケータイつきコンデジ」で撮る。これは手すりから身を乗り出し、両手を伸ばして手に入れた構図。碧空を映した川面が目に痛い。桜はまだ二分咲きだが、この情景には佳く合っている。おなじ場所で撮るなら、次のチャンスは水面が散り花で覆われる頃だろう。
フルサイズ換算約43ミリで撮影。

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 /  6.3mm F3.1 1/320sec. ISO64  / (C)  Keita NAKAYAMA

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 / 6.3mm F3.1 1/320sec. ISO64 / (C) Keita NAKAYAMA

▲photo02:水辺に誘う階段。もう何年も脚を運んでいる場所で、この日ようやく納得できる絵に出逢えた。なぜ今まで見えなかったのか。たぶん答えを授けてくれたのは手すりの影だと思う。
河口まで数キロの川面は潮汐の作用を受けて水位が変動する。つまり汽水域。水を舐めれば塩っぱいはずだが、まだ舐めたことはない。写真の水位はほぼ満潮、潮が引けば階段の先の河床を歩ける。
フルサイズ換算約35ミリの広角端で撮影。

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 /  15.7mm F5.1 1/320sec. ISO64  / (C)  Keita NAKAYAMA

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 / 15.7mm F5.1 1/320sec. ISO64 / (C) Keita NAKAYAMA

▲photo03:鋼管と合板でつくられた仮設桟橋。この堤防沿いにはこういう桟橋がいくつも設けられ、その多くが役目を終えて放置されている。撤去するにも手間とお金がかかるので、先送りになっているのだろう。とはいえ、やがては消え去る運命である。
スクエアで撮りたい絵だったが、このところ持ち歩いている「ドコモL-03C」はマルチアスペクトに非対応(記録サイズに合わせた縦横比変更は可能)。やむを得ず4:3で撮り、両端を切り落とした。
フルサイズ換算約87ミリで撮影。

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 / 11.2mm F4.2 1/125sec. ISO64  / (C)  Keita NAKAYAMA

docomo L-03C / Pentax 3X Optical Zoom 6.3-18.9mm F3.1-5.6 / 11.2mm F4.2 1/125sec. ISO64 / (C) Keita NAKAYAMA

▲photo04:これも堤防から仮設桟橋に降りる階段。上の写真のそれと違って、階段そのものも仮設の鋼板製で、ペンキの塗りは靴底で剥げるより早く錆に侵されている。なぜかというと、ここを利用する乗り合い漁船の釣り人が、釣果の詰まったクーラーボックスを置き、その上に腰掛けて一服する。だからこの部分だけ海水で濡れて錆が進むというのが、僕の推理である。
フルサイズ換算約62ミリで撮影。

Direct link to article on this site ”水辺からの八葉の写真”.
|1|

Trackback URL

------