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Letter from Archives(1) : メイキングセンス。by 中山慶太

Letter from Archives(1)

2012-11-06 | 東京レトロフォーカス別室

Nikon FE2 / Distagon 35mmF2 ZF / FUJI Superia X-Tra 400 / (C) Keita NAKAYAMA

Nikon FE2 / Distagon 35mmF2 ZF / FUJI Superia X-Tra 400 / (C) Keita NAKAYAMA

「年月というのは、数えるもんじゃない」
そんな素敵なセリフを小耳に挟んだ。口にしたのは初老のフランス人。偉い学者とかではなくて、田舎に住むレンガ職人だった。
いつも思うのだけど、あの国のひとたちは何気ない会話を哲学のトッピングで飾るのが上手い。掛け心地のいい椅子づくりと並んで、フランスの佳き伝統だろう。

とはいっても、彼の言葉の意味はよく分からない。「人生で大切なのは過ごした時間の重さだよ」みたいなことだろうか。もしそうであるなら、あの国が優れた写真家を輩出している(国籍はフランスとは限らないが)のも頷ける。年月といっしょで、写真も撮った枚数に意味はないからだ。

もちろん、カット数が少なければエラいというものではない。人物写真でいえば、撮っている間は常に「次はもっといい表情が来る」と信じている。これが絵画などと写真の大きな違いで、だから絵筆を置くタイミングがむつかしい。
そこでデジタルだとつい撮り過ぎてしまうのだが、フィルムならどう逆立ちしても37枚かそこらで一旦休止。巻き上げが手動で、しかもノブ式のカメラなら、もっと早くにブレイクが入る。大概はそこで気分が変わるのだから、写真という行為は、メンタルよりもフィジカルな要素に左右されるのかもしれない。

Nikon FE2 / Distagon 35mmF2 ZF / FUJI Superia X-Tra 400 / (C) Keita NAKAYAMA

Nikon FE2 / Distagon 35mmF2 ZF / FUJI Superia X-Tra 400 / (C) Keita NAKAYAMA

そうやって撮り溜めた写真のうち、ヒトサマにお見せするのはごく一部。残りはファイルに仕舞い込んで、見返すことは滅多にしない。写真というメディアは「保存が利く記憶」なのだが、その記憶は忘却と紙一重のところに置かれている。
年月を数えるのではなく、時間の重みを忘れないために、過去に撮った写真を眺めてみることにした。フランス人ならこういうことを、きっと洒落たセリフで表現するだろう。チャンドラーが賞賛したように、彼らは人生の意味を語るのに長けている。

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▲photo01:2年前に、初夏の浜辺で撮ったカットから。このときの写真は「猫の帰還」に載せた数枚が当者比で最高の出来だった。こちらはそれとは設定を変えているのだが、画面構成で赤の部分を上手く生かせずお蔵入り。今回は再スキャンで画面の右側をばっさり切った。レンズは当時最新のディスタゴンZF。

▲photo02:それを絵にできない撮り手はいるけれど、絵にならない表情はない。だからカメラを構えたらスマイルが来る前に一枚は撮る。後はその表情が生きる場所をつくれるかどうかだ。
脊山さんが持っているのはマミヤの中判デジタルZD。彼女はこの重いカメラとレンズ数本を、重いバッグに詰めて撮影に出かける。
このカットではディスタゴンの歪曲が目立ったので、後処理で補正した。背景は海の家。かき氷が意外に安い。

制作協力 脊山麻理子

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