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Konica Autoreflex T3(4) : メイキングセンス。by 中山慶太

Konica Autoreflex T3(4)

2011-05-19 | 東京レトロフォーカス別室

Konica Autoreflex T3 / Hexanon AR50mmF1.7 / RealaACE / (C) keita NAKAYAMA

Konica Autoreflex T3 / Hexanon AR50mmF1.7 / RealaACE / (C) keita NAKAYAMA

T3は、コニカらしからぬカメラである。
なぜらしくないのかといえば、新しさがない。いやこんな旧いカメラに新しさというのも、妙だな。それじゃあ「落ち着きのあるカメラ」と言い換えようか。
まあ、つまり、コンサバってことです。はい。

コニカって、日本でもイチニを争うくらいの歴史あるカメラメーカーなのに、どこか腰の落ち着かないイメージがある。いや、そんな印象が「あった」。そういう企業や製品に対するイメージは、カメラ好きの間でもブレ幅が大きい。というか、両極端で中間がない。

たとえば、僕よりも年長の、キャリアの長い愛好家には、この会社の製品(特にレンズの描写)に一目置くひとが多い。
「なにで撮ってる?」と、こちらの手元を覗き込み、レンズにヘキサノンの銘を見つけて、黙って頷く。そういうひとは、ライカレンズの名前を覚えているひとよりも、たぶん写真を撮っている。
それが、僕より下の世代だと、コニカといえばフィルム屋さん。カメラはプラ製のビッグミニあたりしか、記憶に残していなかったりする。

なぜそんなギャップが生まれたのかといえば、これはコニカの製品、というよりビジネス戦略、いや企業の成り立ちそのものに原因がある。
かつてコニカのカメラといえば、写真表現の可能性を「撮影機能」や「画質」で追求する、いわば王道寄りのものが多かった。それがある時点から、なるべく多くのひとに1コマでも多く写真を撮ってもらおうという、「写真の大衆化」の方向にシフトしていった。
変化のタイミングは、60年代から70年代にかけてのことである。

 (C) keita NAKAYAMA

(C) keita NAKAYAMA

カメラづくりの技術も伝統もあるメーカーが、専らお手軽な大衆カメラを手がける。今の目で見れば、なんとももったいないことだ。
でもこれは無理もない話で、フィルムメーカーがつくるカメラには、「フィルム消費を促進する商材」という側面がある。音楽再生などでもそうだが、装置(ハード)の市場規模は、媒体(ソフトまたはメディア)のそれに比べて、ずっと小さいのが普通だし、それで健全だ。
加えて、フィルム製造は典型的な装置産業だから、市場の競争に打ち勝つには莫大な投資が必要で、経営資源はなるべくそちらに回したい。

もうひとつ、フィルムメーカーがカメラの開発と製造に消極的な、というか積極的になれない理由として、カメラ専業メーカーに対する遠慮があったようだ。
これは写真関係に限らず、いろいろなメーカーのひとと話をして受けた印象なのだけど、メディアを供給する企業には、他社に「使っていただく」という謙譲の姿勢がある。そうやってファミリーを増やすことが、市場規模の拡大につながるのだ。
つまり、フィルムメーカーのカメラには、市場での競争を避けながら販売量を増やすという、相当にむつかしい使命が課せられていた。

コニカに限らず、フィルムメーカー各社のカメラが、大衆向けのお手頃製品にシフトしていった背景には、たぶんこうした経営上の判断がある。専業メーカーが競い合う市場で、限られたパイを奪いあうより、新たな市場を開拓してフィルム消費を増やそう。いかにも株主受けしそうな判断だが、もちろんそれがすべてではない。
70年代半ば、一眼レフを手がけるメーカーはどこも厳しい状況に直面していた。コニカが日本市場向けに「オートリフレックス」の輸出名を用いたのは、ちょうどその時期に重なる。

(この項続く)

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▲photo01:被写体はおなじ仕草をしない。「もう一度」とお願いしても、時計の針を戻すことはできない。だから悩む前にレリーズする。本当はノートリで撮りたかったけれど、画面の左端を切り捨てて4対3でまとめた。
フィルム写真の素晴らしさは、ピントではなく微妙なトーンの変化だけで世界を描けるところにある。ヘキサノンAR最終型の「暗い方の標準」で。

▲photo02:コニカT3の軍艦部。国産一眼レフでは見慣れた風景だが、レリーズボタン周囲のリングを電源スイッチにする意匠は、現代のカメラにも引き継がれている。プレス部品の品質はたいへん高く、填合の精度もドイツ製品にひけを取らない。いっぽう鋳造部品(上記のリングやシャッターダイヤル基部の部材など)のクオリティはかなり落ちる。このあたりの品質管理の「詰めの甘さ」は70年代半ばまでのコニカ製カメラに共通するもので、設計者は下請け工場に優しかったのだろう。
個人的に好きなのは、シャッターダイヤル外周の意匠。ピッチの異なる平目ローレットを組み合わせたデザインと仕上げは「世界一美しい」と思う。

制作協力:脊山麻理子

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