Pentax K-7 (5)
余談、の続き。
低感度側の拡張にメーカー(デジタルカメラを手がける全メーカー)が消極的なのは、ユーザーニーズがあまり高くないためのようだ。だから僕のマイノリティ・レポートも通りにくい。それはよく分かる。
それでは、デフォルトではなく、ユーザーの任意設定で低感度側を拡張するというのはどうだろう。
この安直な思いつきに対して、K-7開発チームは、こんな答えを返してくださった。いや本当に、面倒な質問にちゃんと答えていただき、感謝しているのだ。
「現状のシステムを使って、ISO100をISO50とする場合、センサーの性能を出し切ることができません」と画像設計を担当されるYさん。
「それをやろうとすると、たとえばこのコップ(と、目の前の紙コップを指さして)の半分にしか水が入らない(=光を半分しか取り込めていない)状態で、絵をつくらなければならないのです。それがユーザーにとって、良いことなのかどうか」
でも、使う側がそれを承知で、それでもやりたいという場合に設定を変更するなら、画質低下は了解のうえだと思うんですけど。
「仰ることはよく理解できます。ただお客さまは、フィルム時代での低感度に対する先入観があるんですね。感度が低くなるほど高画質、という」これは商品企画のKさんの言葉。
たぶんこれは知恵のある人間と、無知なる羊のすれ違い、ではなく、画質をウリにする製品に対して責任を持ちたいという、メーカー側の良識なのだと思う。それはそれできちんと筋が通っている。
まあ、デジタルが進歩した今でも、どこかにフィルムのアドバンテージが残っているのは、そう悪くないことかもしれない。
ついでに書いておくと、僕が常用しているのは感度100のカラーネガだけど、これは必要なら1段でも2段でも減感がきく(現像処理まで含めた減感ではなく、露出オーバーで撮るという意味)。だから低速シャッターの効果が欲しいときなど、ISO25の設定で撮ることも珍しくない。それでも結果がさほど変わらない(スキャンはちょっと面倒になるけど)のだから、これは偉大なる魔仁車なのかもしれない。なんだ、楽をしていたのは僕の方なのか。
低感度の話を打ち切る前に、商品企画のWさんはちゃんと僕の意見をメモしてくださっていた。さて、どうなるか。
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▲photo:「けっこう凄いことになる」と書いたオーバー目の雅モード。この画像ではシアンがもろに飽和している。画面左をもっと取り込んだカットもあって、そっちでは居並ぶ漁船の舳先が秘宝館的存在感を発揮していた。フィルムでこれをやろうとは死んでも思わないけど、デジタルなら軽いノリで許せるのは何故だろう。
レンズはこだわり設計のDAリミテッド21mm。コンパクトなK-7にぴったりのパンケーキ、というよりボディキャップ代わりみたいなレンズ。この絞り値では他のレンズとの差はほとんど出ない。出たらどっちかが壊れてる。
Special thanks to KAORI.
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