世界の1/3 (1)
僕らは空気を吸って、音楽を聴きながら生活している。そう、空気と音楽。このふたつがいったいどこからやって来るのか。そんなことを考えてみたことはあるだろうか。
Web上のいろんな資料に目を通すと、地球の表面を覆う大気のうち、生物の生命維持活動にもっとも必要とされる酸素は、その1/3から1/4が「南米アマゾン川流域の熱帯雨林によって供給されている」とある。
そこで植物が行う光合成の仕組みは学校で習った通りだ。でも地球の陸地のわずか2%ほど(陸地の総面積1億4894万平方キロに対しアマゾン熱帯雨林はおよそ340万平方キロ*)から、僕らが呼吸する空気の多くが生まれているなんて、ついぞ教わらなかった。今の子供には教えてるんだろうな。
だからアマゾンには誰もが毎日お世話になっている。いや、通販じゃなくて。
その熱帯雨林が今深刻な危機に直面している、というようなお話は、例の「ゴアさま」の著作や映画などに詳しい。じっさいノーテンキに音楽など聴いている場合ではないのだが、「人はパンのみにて生きるに非ず」ともいうので、ここはそっちの話に落とさせていただきたい。
自分が普段どんなジャンルの音楽を聴いているか。これはその時期の気分によって変動するから、正確な答えは出せない。でも僕の場合、ほぼ1/3から1/4がブラジル音楽に代表されるルーツミュージックだ。そして音楽ソフトの所有枚数が全体の10%以下であるにもかかわらず、ブラジル音楽は僕の生活に欠かせないものになっている。
空気も音楽も「世界の1/3」。もちろんこれは偶然かもしれない。それに聴く音楽には個人差があるから、数字の一致には紙一枚の厚みもない。でも僕にとって、大アマゾンの密林の多くを抱えるブラジルという国が、生きていくうえで欠かせない空気と音楽をつくり出してくれている。この符合が意味を持つように思えてならないのだ。
さて、自分のサイトで音楽のことを書こう。そう決めるずっと前から、僕は波長の合うひとたちにお気に入りの音楽を勧めてきた。それは「自分が好きなものに共感して欲しい」という気持ちが半分、残りは「自分が紹介しなければ(人と音楽は)出会えないだろう」という、たぶん義務感という名のお節介である。
そのお節介の第一弾として、ここで何を紹介するか。ピンクフロイドの’’Meddle’’なんかは駄洒落にしかなからないし、だいいちあまりにも有名だ。もっと知られていないアーティストで、無理矢理に聴かせて喜んでもらえそうなのは・・・などと悩む必要もなく、ひとりの歌い手がすぐアタマに浮かんだ。現代ブラジルを代表する最高の巫女、マリア・ベターニアである。
▲photo:先に貼った写真のオフショット。背景に人物を配するだけで雰囲気が変わる。あちらは美味しいご飯にゼッタイ巡り会えない英国浜辺のイメージ、こちらはサンバが流れるブラジルの浜辺・・・にはまったく遠いけど、いつかイパネマの浜辺でロケをしてみたい。
*注:アマゾンの熱帯雨林は伐採により面積の減少に歯止めがかからない。上記の数字は2005年のデータで、この35年間でおよそ17%の森が姿を消したそうだ。
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